国内

田嶋陽子氏、#KuToo運動巡る女性同士の対立に「時間のムダ」

田嶋陽子さん、#KuToo運動になんと言う?(撮影/菅井淳子)

 今、田嶋陽子さん(79才)を再評価”する声が日増しに高まっている。きっかけは2019年秋だった。創刊まもないフェミニスト雑誌『エトセトラ』が「We Love 田嶋陽子!」と銘打って一冊丸ごと田嶋陽子特集を組んだこと。そして1992年に出版された田嶋さんの著書『愛という名の支配』が新潮文庫で復刊されたことを機に、新聞、ラジオ、雑誌などが続々と田嶋さんをフィーチャーするようになったのだ。

 イギリスへの留学を経て大学教授として法政大学で英文学と女性学を教えていた田嶋さんは1991年、『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日系)に初出演し、たちまちブレーク。当時、女性の社会進出は進みつつあったものの、働く女性は「OL」とひとくくりにされて、結婚や出産で会社を辞めるのが当たり前だった。

 平成から令和へと時代が変わり、女性を取り巻く環境はさらに複雑になった。

 フェミニストを名乗る女性も増える一方で、お金持ちが出没するエリアに夜な夜な集う「港区女子」のように、かつてのバブル女子のごとく男性の財力やスマートなエスコートを求める女性も目立つようになった。

 女性が働くことは当たり前になった半面、若い世代を中心に専業主婦になることを望む女性も増えている。それだけ多様性が認められる世の中だ、とは一概に言えないだろう。未だに男女の賃金の格差は大きく、医学部入試でも差別を受ける。セクハラやパワハラのニュースも後をたたない。

 田嶋さんは、「世の中はまだ変わっていない」と主張する。

「私の本を手に取る人が多いのは、まだ言葉が届いていなかった、苦しんでいる女性が多いという証拠。女性に関わる法制度は古いまま。政治も会社もまだまだ男が支配して、女は家庭、男は会社という性別役割分業が残っています。

 特に専業主婦はいまだにタダ働きの家事をさせられて、老後にもらえる年金がものすごく少ない。日本は夫婦別産制で、夫の稼いだものは夫のものだからです。

 男が外で働きやすく、女が家庭を守るという考えから生まれた税制の配偶者控除も残ったままです。知ってますか? 大卒女性が一生フルタイムで働くと、生涯所得は2億8500万円。出産退職後、40才を過ぎてパートで103万円の壁の中で働くと、4800万円。その差は2億3700万円ということを(厚生労働省『2004年版働く女性の実情』より。この後、統計は出ていない)。だけど多くの女性はそうした知識を持たず、自分たちの置かれた状況に気づいていません」(田嶋さん)

 確かに男女格差を示す世界経済フォーラムの「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」の最新版では、日本は153か国中、121位だ。作家で生活史研究家の阿古真理さんは語る。

「日本は政治・経済分野で女性の活躍が少なく、政治家の大半は男性で、企業の管理職でも女性の割合は課長以上では1割未満。女性の賃金は男性の7割ほどしかなく、シングルマザーの貧困は大きな社会問題です」

 加えて、フェミニズムをめぐる女同士の対立も生まれている。

 例えば、ハイヒールを履かない「#KuToo」運動に対して、「そんなことをわざわざ主張するから女性の立場が悪くなる」「私はハイヒールでも大丈夫」といった女性からの批判が相次ぐ。

関連記事

トピックス

元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
日本テレビの杉野真実アナウンサー(本人のインスタグラムより)
【凄いリップサービス】森喜朗元総理が日テレ人気女子アナの結婚披露宴で大放言「ずいぶん政治家も紹介した」
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬の宮城野親方
元・白鵬の宮城野部屋を伊勢ヶ濱部屋が“吸収”で何が起きる? 二子山部屋の元おかみ・藤田紀子さんが語る「ちゃんこ」「力士が寝る場所」の意外な変化
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン