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2020.04.08 15:00  マネーポストWEB

タイ在住記者が見た「首都封鎖」のリアル 溢れる帰国できない外国人たち

イミグレーションでは、帰国できず滞在延長を手続きする外国人が列をなしていた(タイ・バンコク)

 世界で新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、タイでもその勢いは深刻だ。タイ保健省によれば、感染者数は累計2258人、死者数は累計27人(4月7日現在)。ただし、連日100人ペースで新規感染者が確認されていたが、6日には51人、7日に38人になり、その数を減らし始めている。

 タイでは3月18日から、学校の休校、ナイトスポットやマッサージなどの娯楽施設を営業中止。4月中旬のタイの旧正月「ソンクラーン」の延期も決定された。3月22日からは生活必需品を扱う店を除く商業施設は閉鎖され、飲食店はTake away(持ち帰り)のみで営業している。3月26日には緊急事態宣言を発令。子どもや高齢者などの外出が制限され、外国人の入国原則禁止などが実施された。

 追加措置として4月1日、屋台やコンビニも午前0時から5時まで夜間営業の禁止が発表された。ムエタイや帰国者などによる感染拡大を受けて、封じ込めに本気だ。2日には午後10時~午前4時の外出を禁止する夜間外出禁止令が出された。違反者には2年未満の禁錮もしくは4万バーツ(約12万円)の罰金、またはその両方が課される。

 3日には封じ込めをさらに強化。日本をはじめとする対象地域の渡航者に対して、政府指定の施設で14日間の強制隔離を実施。6日、当初4月4日から6日までを予定していたタイ行きの航空機の飛行禁止措置を18日まで延長した。

 筆者(マネーポストWEB記者)がタイ人女性会社員との婚姻とビザ手続きのため入国した2月末時点では、感染者数は40名ほど、死者は1名という状況だった。しかし、冒頭のように事態は悪化の一途を辿り、3月26日には緊急事態宣言を発令。子どもや高齢者などの外出が制限され、外国人の入国が原則禁止された。

 わずか1か月のあいだに事態が急変したことで、筆者も含めて滞在する多くの外国人が困惑している。特に混乱が見られたのが、飛行機の欠航とビザ関係。国境封鎖や航空便の欠航により、自国に帰れない外国人が大勢いるのだ。実際、首都バンコクのチェーンワッタナーにあるイミグレーションでは、3月24~25日頃の混み合いがひどく、自国に帰れず、滞在延長を希望する外国人で溢れていた。

 筆者がノービザの滞在延長と結婚ビザ申請のために訪れた日も、朝8時半オープンにもかかわらず、早朝6時の時点で整理券を得るための多くの人々が行列をなしていた。この日は7時半から受付が開始。行列を整理する警備員が、笛を鳴らして一定間隔の距離を保つように指示したほか、座席も1席ごとに間を取っていた(その後、イミグレーションで感染者が出たため、現在は対策として一部手続きを別会場に移したという)。

 タイの市中でも、至る所で対策が講じられている。

 例えば、あるスーパーでは入店時に検温が必須で、検温された証に白いシールが肩に張られる。一部コンビニでは店員がマスクとゴム手袋、プラスチックのシールドを着用し防備。入店にもアルコール消毒と検温が必須だ。屋台でもマスクと手袋の着用はもちろん、アルコール消毒液を目にすることが多くなった。とはいえ、食品をビニール袋に入れて販売する店もあれば、包装せずに売る店もまだある。

 新型コロナに感染した際に治療費を補償する“コロナ保険”に入るタイ人も多く、新規加入を締め切る会社もあるほど。新型コロナをいかに恐れているかがうかがい知れる。日本に留学経験がある30代タイ人女性・Aさんは、日本の対策に疑問を抱く。

「日本でも多くの店舗や施設でアルコール消毒液を置いているようですが、タイはバスの席でも離れて座るよう席には×印がされているし、人とは一定の距離を取るし、マスクをしてないと入れないところばかり。危機意識が日本より高い気がします。これは、タイが貧富の差が激しく、また日本のように医療保障がないため、『絶対に感染するわけにはいかない』という意識が大きいからかもしれません」

 タイでは子どもや高齢者以外でも、外出を控える人が大多数だ。日本語が話せる30代タイ人男性・Bさんもその一人。外出できない日が多くなれば、当然ストレスもたまるだろうが、日本のアニメのおかげで乗り切っているという。

「ソンクラーンを利用して日本に観光する予定でしたが、飛行機が欠航になったため、行けなくなりました。ショックで鬱々とした日が続いていますが、日本のアニメが唯一の希望になっています。動画配信サービスでアニメを見れば、家にいても退屈しないし、本当に良かった。『ここに行きたいなぁ』『これ食べたいなぁ』と思いながら、アニメゆかりの地や食べ物をチェックしています」

 Bさんは続けて、「今、タイも日本もお互い厳しい状況ですが、頑張って乗り切りましょう。終息したら私も日本に行きますし、日本の方もタイにぜひ来てください!」と笑顔を見せてくれた。タイも日本も感染拡大が進み、正念場。以前のように両国を自由に行き来できる日がやってくることを祈るばかりだ。

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