「できるだけゆっくり、無理のないように深呼吸を続けてください。深呼吸の回数でいえば20回、時間としては2~3分ほど続ける中で、次第に息を吸った時に自然と、胸とお腹の両方が膨らむようになります。その状態が横隔膜が本来の位置を思い出した証拠です」(柿崎氏)
横隔膜と並んで重要なのが「胸郭」だ。胸郭とは肺を取り囲む肋骨などを含む骨の総称で、肺が膨らむのと同時に、その容れ物である胸郭も広がる。
「胸郭周りの筋肉が固まり広がらなくなると、取り込める空気の量も少なくなります」(柿崎氏)
もう一つの図に記した【2】は「胸郭」の可動域を広げる体操だ。とくに猫背ぎみで首が前に出ている人は、胸の前面にある筋肉を使いにくいせいで、胸郭が十分に広がらない状態になっているという。
「図のように頭を後ろに倒し、顎を上げるのは、胸前の筋肉をストレッチし、本来の可動域を思い出させることが目的です。
また、顎を上げる際に胸を手で押さえるのは、胸の動きを感じるため。ギュッと強く押すのではなく、軽く押すのがポイントで、胸の前の筋肉を使い、胸郭が広がっていることが感じられたらOKです」(柿崎氏)
この体操によって吸って吐く一連の動作がよりスムーズにできるようになり、「使うべき筋肉を最大限、効率的に使った呼吸ができるようになる」(柿崎氏)という。
◆誤嚥性肺炎の予防に