軽症のコロナ陽性患者が療養するため、千葉県が借り上げたホテル(時事通信フォト)

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◆医療費削減で病床を減らす地域医療構想

 それにしても厚労省はなぜ、公立・公的病院の再編・統合にこだわるのか。その背景にあるのが医療費の拡大だ。2018年度は42兆6000億円に達した。20年後には66兆円を超すとの試算もある。

 その元凶とされているのが過剰な病床数である。一般的にはこう解説されている。

「日本は先進各国に比べ人口当たりの病床が非常に多い。過剰な病床数は医療費膨張の要因。団塊世代が75歳以上になる2025年度にかけて医療費はさらに膨らむ見通しのため、政府は病床数の適正化を図る『地域医療構想』を進めている」

 具体的には、2015年に厚労省がまとめた「地域医療構想策定ガイドライン」に沿って、各都道府県が病床の機能ごとに2025年の必要数を推計。その中で、人口減が見込まれる地域では、集中的な医療を提供する「高度急性期」や「急性期」病床をリハビリや在宅医療につなげる「回復期」病床に転換し、病床削減も行うという構想だ。

 しかし、実際の取り組みが進んでいないことから、昨年秋に厚労省は全国424の公立・公的病院について「再編統合の議論が必要」と位置付け、実名公表に踏み切った。

 ところが、各地で「地域特有の事情が反映されていない」「厚労省の分析は機械的で実情を加味していない」「病院がなくなるとの住民不安を煽った」などと猛反発が起きた。共同通信のアンケートによると全自治体の63%にあたる1132自治体が「不満」「やや不満」と感じていることが判明した。

 厚労省は全国各地で意見交換を実施。病院側の意見も踏まえ、今年1月に修正したリストをまとめた。その結果、検証ミスなどで7病院が当初の公表リストから外され、新たに約20病院が追加され、総数は約440病院に増加した。

 こうした経緯の上で、冒頭の加藤厚労相答弁が飛び出したのである。

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