今年の国公立大医学部でも、志願者は10%ほど減った。センター試験が難化し、5教科7科目の平均点が18点下がり、難関の医学部を諦めた受験生も多かったと見られる(河合塾調べ)。
その一方で、東京医科大で不適切入試が明るみに出て、意図的に浪人生や女子生徒を入学させなかったことが分かった。同様の入試を行っていた私立大も相次いだ。それも文部科学省の指導の下、不適切入試は解消され、浪人生が合格して減っていることも背景にあるのではないか。
今や多浪生が多いのは医学部だけと言われているが、今年の入試で判明している国公立大医学部全体の現役合格者の割合(現役合格者数÷全合格者数×100)は54%だった。10年前は47.4%だったから、現役合格率は大きく上がっている。推薦入試やAO入試が実施されるようになり、現役での合格者が増えていることもある。ただ、最難関の東京大の今年の現役合格率が67.2%だから、それと比べるとまだまだ低い。
そんな中で、今年の国公立大医学部に強かった学校を見ていこう。別掲の表にあるように、今年も西日本の中高一貫校が強かった。ちなみに、昨年トップ10に入っていた男子校御三家の「開成(東京)」はまだデータを公表していない。
トップは13年連続で「東海(愛知)」の94人。内訳を見ると、名古屋大が28人、名古屋市立大が17人(両大学でトップ)、岐阜大11人などだ。2位は「灘(兵庫)」の79人。内訳を見ると、京都大が24人、東京大が14人(両大学でトップ)、大阪大11人などだ。3位は「洛南(京都)」の69人。内訳は京都府立医科大11人、滋賀医科大10人でトップ、京都大8人などだ。
トップ3はいずれも合格者を昨年より減らしている。医学部離れとも見えるが、校内での医学部人気は年によって変わることもある。特に中高一貫校では、学年によって東大や京大の理系人気が高まることもあれば、医学部人気が高まることもあるからだ。
大きく伸びたのは7位の「青雲(長崎)」で31人増の61人になった。次いで12位の大阪の「清風南海」が29人増の49人、24位の東京の「日比谷」が19人増の36人、4位で女子校トップの「四天王寺(大阪)」が17人増の67人、13位の「新潟」も17人増の45人だった。