同じくGW真っ只中の5月上旬、東京・錦糸町駅にほど近い飲食店も、やはり「キャッチ」を使った闇営業を行なっていた。店の関係者がそっと打ち明ける。
「正直コロナは怖いし、休業補償もある程度出るということで店は休みたい。この時期に店を開けていても、1日の売り上げが2千円の日もあるから、営業すればするほど赤字」(店の関係者)
実はこの店、以前筆者が取材した際に、近隣店舗が「ぼったくり店」と名指しした悪名高き店で、背後には暴力団の存在もちらつく。周辺の同業者とも付き合いは一切なく、キャッチが一見客を捕まえてくることで成り立っていたのだ。同関係者に、そうした事情を踏まえた上で改めて問いなおすと……。
「そうなんですよ……ウチは上がうるさいんで……。休業補償ももらいたいから、表向きは休業しているように見せかけ、客はキャッチが引いてくる人だけ、店の前に来たら扉をこっそり開けるんです。何度か“休みたい”と行ったんですけど、それなら賠償金を払えと凄まれる。まともじゃない世界でやってきたという自覚はあるので、こういう時だけ人様と同じように休んで補償金が欲しいなんて、あんまり言いたくはないんですけどね。もうこれ以上喋れないんで、すいません」(店の関係者)
一般人にも、そして反社勢力にも平等に押し寄せるコロナ禍の波。止むに止まれずの「闇営業」ではあるものの、後者に関して言えば、自身の生活のために、というよりは組織のために、といったところか。こうした緊急事態下でも「飲みに行く」人をターゲットに据えるのは、薬物の売人が薬物中毒者を常に探し続けているのと同様、古くはアメリカに「禁酒法」があった時代にも、同じような出来事が起きたと聞く。やはり人間は変わらない、そうした現実をコロナ禍が炙り出してゆくのだ。