日本テレビが強気の姿勢を貫けるのは、制作サイドがさまざまなアイディアを考え、「ぜひやろう」「それならいけるだろう」という実行しやすいムードが局内にあるから。

 もともと日本テレビは、他局よりもバラエティの数が多く、プライムタイムの19~23時に3・4番組続けて放送し続けているトップランナー。しかも「放送20年を超える長寿番組が多く、視聴習慣が根づいている」「大半の番組が及第点の視聴率を獲得してきた」「2010年代から家族層や若年層を意識した番組作りをしていたため、在宅率の高い今はチャンス」など、アイディアを実行できる理由に事欠きません。

 また、芸能人や文化人たちの間では、「日本テレビのバラエティは台本がしっかりしていて分厚い」「秒単位で笑いを詰め込むために十分な撮れ高を確保するから収録が長い」などと言われています。これらが意味するのは、放送済みシーンと未公開シーンの多さ。前述したように放送期間が長いこともあって、再編集を絡めて制作するとしても、「他局より使えるネタが豊富」という強みもあり、やはり新たなアイディアを実行しやすいムードにつながっています。

 その他でも、朝の帯番組『スッキリ』でもTwitter投稿をベースにした「#スッキリ自撮りネタフェスティバル」や倖田來未さんらの自宅ライブが企画され、昼の帯番組『ヒルナンデス!』でもリモート出演を生かしたコーナーを積極採用するなど、日本テレビのアイディア実行力は時間帯を問わず備わっている様子がうかがえます。

今後、平常時に戻ったとき、今回の成功体験は日本テレビの財産となり、新たなアイディアを次々に実現させていく姿勢は、局のカラーとして続いていくのではないでしょうか。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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