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コロナで高齢者が「集中治療を譲る意志カード」は日本に必要?

医療崩壊の危機(写真/Avalon/時事)

 新型コロナウイルスの感染で混乱する医療現場では「どの患者から先に治療をするか」の葛藤が生じ、医療が崩壊することが危惧されている。

 この状況に一石を投じて話題を呼んでいるのが、大阪大学人間科学研究科未来共創センター招聘教授で現役医師(循環器科専門医)の石蔵文信氏(64)が高齢者向けに作成した「集中治療を譲る意志カード(譲〈ゆずる〉カード)」だ。表面には次のように記されている。

〈新型コロナウイルス感染症で人工呼吸器や人工肺などの高度治療を受けている時に機器が不足した場合には、私は若い人に高度医療を譲ります〉

「譲カード」には医療現場の負担を軽減する狙いがある。実際、ヨーロッパはコロナ禍による「命の選択」を余儀なくされた。特に悲惨なのは、65歳以上が人口の23%を占めるイタリアだ。

 3月の時点で、北部ロンバルディア州では激増する新型コロナ感染者に医療資源が追い付かず、病床の足りない病院では人工呼吸器をつけた感染者が廊下や待合室に横たわった。毎日何十人もの患者が息絶えるなか、現場の医師らは治療の優先順位の選択を迫られた。

 同州ベルガモの病院のなかには、70歳以上の患者の集中治療室受け入れをほぼすべて断わった病院もあるという。

 英大手紙デイリー・テレグラフは、イタリア北部ピエモンテ州トリノの市民保護局が、80歳以上の患者などには集中治療を受けさせないとの「緊急事態下の集中治療へのアクセス基準」をまとめたと報じた。

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