「中小企業の経営者が作成どころか見たこともない書類も多い。飲食店など零細業者にはタイムカードや賃金台帳、就業規則がないところも珍しくありません。それを一から作成して出すのは何か月かかるかわからない。書類の段階で申請を断念するケースが多い」(同前)
政府はこの雇用調整助成金をどんどん拡大し、コロナで苦境に陥った企業やその社員に“大盤振る舞い”しているが、これだけの書類を出さないと申請を受理されないことは、見せかけだけで本気で支払うつもりはない証拠だろう。
金額だけは「世界で最も手厚い」が、実は世界でも稀な“もらえない助成金”なのだ
【プロフィール】北村庄吾(きたむら・しょうご)/1961年生まれ、熊本県出身。中央大学卒業。社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャル・プランナー。ブレイン社会保険労務士法人 代表社員。コロナ倒産を防ぎ、社員の雇用を守るための『「雇用調整助成金」完全申請マニュアル』が発売中(http://koyoujoseikin.jp/)。
※週刊ポスト2020年6月5日号