浦上氏は、日中の感染予防対策は「個人情報の取り扱い方に大きな違いがある」と指摘する。
「中国政府は感染拡大当初から、GPSの位置情報で人民の行動を徹底して把握しています。上司・部下、彼氏・彼女にいたるまで誰と誰が接触したのか、行動履歴を把握して個人情報が可視化されている。人権意識の高い日本では同様のことはできないが、中国では感染に対する恐怖から、感染者の情報を積極的に公表しないほうが非難される傾向にある」(浦上氏)
他にも、ドローン監視でマスクの着脱を警告するなど、中国では各国に比べて厳しい管理体制を敷いてきた。4月以降は武漢、吉林省など感染者を出した地域のトップを更迭している。
「武漢市で感染した男性の集合住宅がある共産党地区委員の責任者や、感染が相次いで発覚した吉林省舒蘭市の党委書記が、対策不徹底を理由に更迭されました。中国では海外からの帰国者に対して引き続き2週間の隔離措置を命じていますが、隔離を適切に実施しなかったハルピン市の衛生当局幹部も更迭されています」(同前)
民主国家なら“やりすぎ”とさえ思える強権発動でウイルスを封じ込めるのが、中国のやり方のようだ。
◆密集場所に「QRコード」を
中国と韓国、2つの隣国の事例から日本が学べることは何か。ひとつは「感染者追跡」の手法だ。前出・勝田教授が言う。