時代が変わっても自らは変化の兆しを見せようとしない記者クラブ。内輪の論理で取材先との関係性を優先する姿勢が、黒川氏との賭け麻雀という違法行為を見逃し加担する記者を生む土壌となった。今回の賭け麻雀事件は、記者クラブの自殺行為であり、読者に対する裏切りである。この際、大手メディアは権力を監視するという本分と引き換えに、与えられている特権を手放してはどうか。
「記者クラブは権力を監視するためによそ者の目が必要と言います。それは理解できます。しかしそのクラブに仲間しか入れないあなたたちも外から監視の目を入れるべき。そうすれば今回の賭け麻雀の問題はとっくに暴かれていたかもしれません。もういい加減に記者クラブは特権を手放して、記者会見やレクなどに全面的にフリーランスの参加を認めるような判断を下してほしい」(畠山氏)
記者クラブと権力側の癒着は、リークによる情報操作や冤罪の発生、匿名コメントによる責任の隠蔽や公務員の守秘義務違反など、多岐にわたる問題を孕む。米国のレーガン元大統領の就任演説の言葉をもじって言えば、「記者クラブ(政府)が問題を解決するのではなく、記者クラブ(政府)そのものが問題」なのである。
●取材・文/池田道大(フリーライター)