日本最大の繁華街、新宿歌舞伎町のホストクラブのネオン看板(時事通信フォト)

日本最大の繁華街、新宿歌舞伎町のホストクラブのネオン看板(時事通信フォト)

「キャバクラやクラブは、マスコミからも叩かれたし、行政の調査も入ったりしていたんですが、ホストはなぜか槍玉に上がらなかったのです。ホストクラブは、キャバクラ以上に特定のお客さんに依存している場合が多く、そうした太客は、直接ホストと連絡を取って、こっそり店を訪れていたからか、表に出てきませんでした」(都内のキャバクラ店経営者)

 ただ、この事が今の惨状を作り出してしまったのかもしれない。そう訴えるのは、歌舞伎町の人気店に勤める現役ホスト・U氏(20代)。

「緊急事態宣言解除直後、ある人気店でホストの感染が発覚し、店は休業に追い込まれていますが、実は他の店でも感染したホストがいます。彼らは咳や熱を感じても、出勤しなければ金にならないから、かなり無理してでもホストとして働きました。知人は高熱が出て3日目で、やっと店に報告。検査に行くと店に告げると、ここで働いていることを漏らすな、フリーターか無職と言え、と口止めされたんです」(U氏)

 実はU氏の店でも、体調が悪くなり休んでいるホストは複数存在するという。店長はその事実を把握しているというが、オーナーはおろか保健所などの関係機関にも知らせていない、というのだ。

「結局、ホストで感染が広まった事がバレたら、闇営業がバレて休業協力金も出ないし、店の評判は地に堕ち、客がこなくなります。店長は、バレるまではやるしか無い、誰かがバラしたらそいつの情報をオーナー間で共有し、一生歌舞伎町を出禁にする、とホストを脅すのです」(U氏)

 歌舞伎町の風俗関係者の間でも、同様の話が囁かれている。

「ホストが感染したことを隠して働いている、というのは実は4月ごろから言われていました。うちの店の女の子も、ホストに入れあげている子達が多いのですが、今行くと感染するから行かない、仕事ができなくなると敬遠するほどです。店でも、ホストに行った子は仕事をさせないようにするなど対策を取っています」(風俗関係者)

 韓国のクラブ同様、後ろめたい場所に行った事でコロナに感染すると、事実をひた隠しにしたり、事実とは違うことを説明し、感染拡大は防げなくなる。日本が欧米諸国と比べ感染者数や死者数が少なかったのは、日本独自の「クラスター潰し」が奏功したという見方もあるが、これができないとなると、死者の割合は第一波のそれを超えることは確実だろう。

「ホストの中には、体調が悪くなっても誰にも言えず、自宅にこもって過ごしている子が何人もいます。連絡の取れなくなった知り合いもいて、本当に不安です」(U氏)

 やってしまったことは戻らない。ただ、命より大事なものがない、ということも事実。嘘や恥を隠して物事がさらに悪化したり、日に日に弱っていく自身の体を傍観するだけか、感染拡大を食い止めるための勇気を持てるのか。歌舞伎町が今、岐路に立たされれている。

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