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秋山豊寛氏が問う コロナですぐ死ぬのとがん闘病10年、どちらが幸せか【#コロナとどう暮らす】

秋山豊寛さんはコロナで一変した社会での生き方を問う(時事通信フォト)

秋山豊寛さんはコロナで一変した社会での生き方を問う(時事通信フォト)

 さまざまな世代に影響を与えたコロナ騒動を、日本人初の宇宙飛行士で現在は自給自足生活を行う77歳のジャーナリスト・秋山豊寛氏はどう考えるか。苦労を強いられることになった国民がこれから取るべき態度や死生観について語った。

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 自分の食べるものは自分で作る──そんな暮らしをしたくて、53才でテレビ局(TBS)を辞めてからは夜に本を読んで朝日が出たら畑に行く“晴耕雨読”の生活を20年以上続けています。その間、しいたけの栽培をするために移住した福島で原発事故に遭ったり、一時は京都で大学教員という勤め人暮らしをしたりしたのですが、基本的にはもうずっと前から、ステイホームの生活ですね。

 ただし、お上から言われてステイホームするのと、自分から進んで家にいるのとはまったくの別物です。安倍内閣は「人との接触を8割減らせ」と言う。では、6月下旬に先進国首脳会議(G7サミット)が予定されていたのは一体なんなんだ。いまでこそ延期されたが、トランプ大統領はワシントンで対面開催する意向だったというし、安倍首相も出席する心づもりだったと報道されていた。あれが「三密」でなければなんなのか。

 結局、政治家は本音と建前を使い分けて、自分に都合良く行動する生き物なのです。そんなふうに、システムと秩序を優先するお上の言うことを「ははぁ」とひれ伏して聞くのは、江戸時代まででおしまいにすべきでしょう。

 言うまでもなく、いまは民主主義の世の中です。当然、主権者は内閣ではなく、私たちです。お上の言うことにふたつ返事で従う必要はありません。われわれは家畜ではないのですから。むしろ国民は、“自分の便利のために政府がある”と思うくらいの方がいい。

 例えばいま、「里帰り出産は控えるべき」といわれます。ですが子供が生まれるときに、自分の親元で安心したいと考えるのは自然な感情です。里帰りによって、親子の絆も深まるでしょう。

 私が宇宙飛行士として、ソ連(現・ロシア)のソユーズに乗っていたときロシア人が言っていたのは、一番ストレスになるのは家族と会話ができなかったことなのだそうです。すべての宇宙飛行士が家族と話したがっているかは別として、仕事上の人間だけでなく、自分が大切にしている人と自由にコミュニケーションがとれないのは、思った以上に大きな負担になるのです。実際、週に1回、ロシアの上空を通過するタイミングで家族と話せる仕組みをつくったら、作業効率が劇的に上がった、なんて話もあります。それだけ、「情」というものは大切なのです。

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