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「過去最悪」の街角景気に底打ちの兆し 藤井七段の活躍も好影響?

景気の最悪期は脱したか?(新宿駅周辺。時事通信フォト)

 新型コロナウイルスの感染拡大と緊急事態宣言で、日本経済は大きなダメージを受けた。ウイルス感染による死者はすでに900人を超えているが、景況悪化が長引いた場合に心配されるのは、経済的な事情による自殺者の増加だ。身近なデータと景気の関係に詳しい三井住友DSアセットマネジメントのチーフエコノミスト宅森昭吉氏は、「完全失業率と自殺者数の相関は極めて高い」と指摘する。

 警察庁が発表する自殺統計の自殺者数と、完全失業率の共通データが存在する1978~2019年のデータの相関係数は0.912と、ほぼ連動しているという。これは景気が悪くなって失業者が増えるほど、自殺者数が増える傾向があるということだ。「失業率が1%上昇すると、自殺者数は4100人程度増加する傾向があります」と宅森氏は説明する。

 コロナ禍以降の完全失業率は、2月が2.4%、3月が2.5%、4月が2.6%と緩やかであるが上昇が続いている。一方で、4月の休業者は前年同月から420万人も増えている。雇用調整助成金を受けて従業員を休業させている企業が多いことが背景として考えられるが、これらの休業者が失業者に転じるようなことがあれば「危険信号」となりそうだ。

 しかし、足元では景況感の底打ちを示すデータもある。タクシー運転手や飲食店経営者などに景気の肌感覚を聞く5月の「景気ウォッチャー調査」(街角景気)では、3か月前と比較しての景気の現状に対する「現状判断DI(季節調整値)」が前月から7.6ポイント上昇の15.5と、統計開始以来最低となった4月から回復している。なかでも飲食関連の現状水準DIは、4月に統計史上初のマイナスという前代未聞の数値が出たが、こちらもプラスに転じた。

 また、2~3か月先の景気の先行きに対する「先行き判断DI(季節調整値)」は、前月を19.9ポイント上回る36.5と回復が顕著だ。宅森氏が解説する。

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