まさに「先見の明」によって、相当な資産を手に入れたタン氏。しかし2014年、33才の若さで早々にビジネスの世界を引退し、2年後には蔡英文政権に招かれてIT担当大臣に就任した。そしていま、台湾の政治において欠かせない存在となっている。
天才と呼ばれる人に総じていえるのは、タン氏のような“先を読む力”に長けていることだろう。
マイクロソフトを創業したビル・ゲイツ氏(64才)は2015年、世界が直面する出来事の中で、最も多くの死者を出す恐れのあるものは戦争ではなく、感染症のパンデミックだと警告。5年以上前から感染症対策の研究に何億ドルもの資産を投じてきた。
将来のパンデミックを予言した天才はほかにもいる。フランスの経済学者、ジャック・アタリ氏(76才)だ。
フランス随一のエリート校・フランス国立行政学院を卒業後、38才で故フランソワ・ミッテラン大統領の補佐官に就任した。欧州復興開発銀行の初代総裁などさまざまな要職を歴任し、“知の巨人”と称されている。
アタリ氏が天才と呼ばれるのは、ソ連の崩壊やリーマン・ショック、テロの脅威の増大などの予測を次々に的中させたからだ。2016年の米大統領選挙では、ドナルド・トランプ米大統領の勝利も予測した。
「アタリ氏は著書の中で“グローバリズムの拡大で人の往来が活発化し、大規模なパンデミックが引き起こされる”と、感染症パニックを早くから予言していました。天才と呼ばれる人々には“未来が見えている”のかもしれません」(経済評論家)
※女性セブン2020年6月25日号