休校を決めたときは「私が決断した以上、私の責任において、万全の対応をとる」といいながらブレにブレた。
そうした間にも経済的な影響は次第に広がった。感染防止のためにテレワークを実施する企業が増え、旅行・観光業界などでは休業が相次いだ。とくに深刻なのが音楽や演劇など文化芸術分野だ。コンサートなど予定していたイベントの中止で売り上げ減少どころか大きな損失を被った。
「機動的に必要かつ十分な経済財政政策を間髪入れず講じる」
首相は会見で強調したが、対策として掲げた言葉はこれである。
テレワークの普及で「これを機に次元の異なる対策を打ち出して未来を先取りする変革を一気に進めたい」(3月16日国会答弁)
首相のイベント中止要請に苦しむ文化芸術業界などに対しては「直接補償は困難」という姿勢を変えず、そのかわりに、「こういう時期だからこそ、デジタルニューディールという形で文化、芸術分野に対する支援についてしっかり考えていきたい」(4月1日国会答弁)
「未来を先取りする変革」も「デジタルニューディール」にしても、具体的な中身のない政権の宣伝スローガンだ。生活の保障と仕事の継続を求めている人々が失望するのは当然だった。
※週刊ポスト2020年6月26日号