当人は、「もう限界だ……」と、どこかの段階で追い詰められてしまっていたのだろう。追い詰められて、どうしようもなく苦しくて、その辛さから逃れるために、自殺の準備をすることにした。それが彼の場合、銃の調達だったのではないか。8日の朝は発作的にそうしてしまったが、そうすることは考え抜いた末の結論だった……。
日本の若者数は少子化で減る一方だが、自殺者は増えている。
厚生労働省と警察庁がまとめた昨年の自殺に関する統計によると、日本全体の自殺総数は2万196人で前年比671人減、1978年の統計開始以来最少だった。だが、世代別では10歳~19歳の10代だけが3年連続で増加し、その自殺者数は659人、前年比60人増、過去20年間で最も多かった。
原因は諸説あって、よくわからない。幼少期から空き地で他の子供たちに揉まれて遊ぶといった経験がないからだという人がいる。そんな気もするが、それは単なる懐古趣味では?と疑いたくなるところもある。
子供が減ったぶん、親の過干渉が増えたから、という人もいる。それは可能性大かなと思うが、逆に育児放棄のような家庭環境で育ち、生きづらい日々を送っている若者たちも少なからずいることを忘れてはいけない。
原因はともかく、日本の若者は自殺しやすい。絶対数は年間659人程度にすぎないとはいえ、死にきれなかった子供たち、死にたいと今も思っている子供たちを計算したら、桁がガンガン増えるに違いない。
これをどうすればいいか。もちろん、たった一言で救われる魔法のことばなどない。死にたいほどの辛さも、ふたを開ければ人それぞれ。解決法も人それぞれだ。
けれども、おそらく言い切っても構わないのは、本人と親や家族だけで乗り越えようとしても難しいよね、ということ。どうしたって感情的になっちゃって、頑張ろうとするほど互いに傷つけあっちゃって、となるのはありがちなんだよ、ということ。
そう、この文章は不特定多数に向けたコラムだから、10代の生きづらい君たちの目にも止まっているかもしれない。というか、このお題を取り上げてみたのは、行き詰ってどうしようもなくなる前の当人たちに、伝えておきたいことがあるからだ。
いま、自分も「当人」の一人かも、となった君に、試してみてもらいたい幾つかの方法がある。
まずは、古典的な方法から。辛かったら、電話相談をしてみてはどうだろう。
たとえば、〈どんなひとの、どんな悩みにもよりそって、一緒に解決する方法を探します。〉という、「よりそいホットライン」0120-279-338(岩手・宮城・福島県からは、0120-279-226)(24時間対応)。電話の先では専門の相談員が待っている。自殺を考えているといった重い話に限らず、日常の悩みでも話せばそれを上手に聞いてくれる。
もうひとつの有名どころでは、「いのちの電話」0570-783-556(ナビダイヤル。午前10時から午後10時まで)。この電話も、よりそいホットライン同様、基本的に悩みごとがあればどんな相談をしてもいい。
あとは、「チャイルドライン」0120-99-7777(午後4時から午後9時まで)。ここは18歳までの子供がかける相談電話。〈かかえている思いを誰かに話すことで、少しでも楽になるよう、気持ちを受けとめます。あなたの思いを大切にしながら、どうしたらいいかを一緒に考えていきます。お説教や命令、意見の押し付けはしません。〉とのことだ。