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コラム

2020.06.14 16:00  マネーポストWEB

コロナで変わった「勝ち組」終の棲家 老人ホームより在宅介護

在宅介護なら「3密」リスクも軽減できる(イメージ)

「終の棲み家」を巡る環境がコロナで大きく変わる。高い入居金などを払って手厚い介護サービスを受けられる老人ホームに入居して、穏やかな余生を過ごすことが老後の「勝ち組」とされてきた。

【表】コロナの影響で「消えるもの」「新常識になるもの」50

 しかし、新型コロナの感染拡大によって介護施設でのクラスター(感染者集団)が各地で発生。群馬県の有料老人ホームや千葉県の介護老人保健施設(老健)などでは入居者50人以上の大量感染が確認され、高齢者が集団で過ごす環境では、感染拡大に歯止めがかからないことが明らかになった。介護評論家の佐藤恒伯氏が指摘する。

「介護はおむつ替えひとつとってもどうしても相手の体に触る仕事であり、密着は避けられない。まして何かしらの持病がある高齢者が集団で暮らしていて、免疫力も落ちている場合が多いから、“感染弱者”にならざるを得ないのです」

 それだけではない。

「飛沫感染の可能性まで考えると、食堂に集合して食事をとることや、入居者のストレスを減らすためのレクリエーションなどでも感染リスクは回避できない。施設側は難しい運営を迫られています。さらに、施設内で感染者が出た場合、施設自体が閉鎖になる場合もあります」(同前)

 そこで浮上してくるのが「在宅介護」という選択肢だ。施設ではなかなか難しい「3密」リスクの回避も、自宅ならその心配は軽減できる。

「手洗い、うがい、マスク、消毒をきちんとできれば安全といえるでしょうが、そのための手配や準備も必要です。デイサービスやホームヘルパーの力を借りなくてはならない。バリアフリーなどのリフォームも必要です。

 まずは既存の『高齢者住宅改修費用助成制度』といった公的補助制度を活用することが大切。加えて、今回のコロナ危機を受けて国も“施設から在宅へ”という流れを加速させると考えられます。自宅に住み続けるための補助やサービス給付、医療サポート体制が手厚くなると考えられ、フル活用することで在宅介護を実現しやすくなっていくでしょう」(同前)

 在宅介護にとって最大の障害のひとつが、同居家族らの負担だった。今後、公的補助の拡充とともに注目したいのが、現役世代の働き方の変化だ。佐藤氏はいう。

「介護離職が社会問題となっていますが、今回のコロナ危機はその解消につながるチャンスでもある。コロナ禍でリモートワークの普及が進み、職場に行かなくても仕事をする環境が整ってきました。今後は仕事を続けながら在宅介護を手伝えるのが当たり前の社会となる下地ができてきたといっていいでしょう」

 自宅を売って施設に入るのではなく、改修など手を加えながら「住み続ける」という選択が有力になってくる。

※週刊ポスト2020年6月12・19日号

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