すると、緊急事態宣言を全国に拡大した4月17日の会見ではこんなことを言い出したのだ。

「ほとんどの国民の皆様がそれぞれ外出を自粛しなければいけない、本当に不安の中にあるわけでありまして、ここは国民みんなでこの状況を乗り越えていく、連帯して乗り越えていくということの中においては、一律10万円、全ての国民の皆様にお配りするという方向が正しいと考えた」

 緊急事態宣言を全国に拡大し、全国民に1か月間の外出自粛を要請することになったから、いわば“1か月間の自粛料”として一律10万円支給するのだという“詭弁”だった。

 しかし、国民には、公明党の山口那津男代表が官邸に乗り込み、“連立離脱”をちらつかせて安倍首相に「一律10万円」を飲ませた経緯が丸わかりだった。それなら「公明党の意見を聞き、国民の要望に応えなければならないと思い直した」と正直にいえば国民も評価したはずだ。この危機の中にあっても自分の体面を守るために言葉を取り繕う姿は疑問を抱かせた。

※週刊ポスト2020年6月26日号

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