一方、関西圏の文化に精通する国際日本文化研究センター所長・井上章一氏は「東京」が隠れたキーワードだと分析する。
「名古屋と大阪の争いの火種は、東京によって作られた部分があります。歴史的背景として、商人が中心となって作られた商業都市の大阪と、尾張藩の侍による武家社会によって形成された名古屋は相容れない部分はあるでしょう。
しかし、その差異を『県民性』に結びつけて双方のイメージ付けをしたのは、中央である東京のメディアです。こうして中央の貼ったレッテルを、いつしか双方が真に受けて争い始めた。
実際には東京が2都市を見下して“いじった”結果なのです。本来、大阪と名古屋は手を取り合って東京と戦ってもいいぐらいなのに、双方から東京の批判が聞こえてこないばかりか、踊らされていがみ合っているのだとしたら悲しい話です」
2018年には大阪万博(2025年開催予定)の決定を受けて、大村知事が「積極的に協力する使命がある」と発言。大阪支援の姿勢を見せていた。
両者が再び歩み寄る日はくるのか。
※週刊ポスト2020年6月26日号