依存の実体験が描かれたマンガ『セックス依存症になりました。』(津島隆太著)の主人公は20代の頃から女性関係に奔放だったが、40才を目前に、性欲のコントロールを失う。干してある布団を叩くパンパンという音がセックスの音に聞こえる、街ゆく人の声がすべて喘ぎ声に聞こえる──。主人公はこう苦しみを表現する。
《セックスがしたくて吐きそうです 助けてください 助けてください!と叫びたいほどの性欲》
家庭崩壊につながることも少なくない。会社員男性Bさん(37才)は、風俗通いが原因で離婚に至りそうだという。
「交際中に浮気がバレたのは、一度や二度ではありません。それでも妻は私を選んでくれ、“二度と浮気はしない”と約束して結婚しました。結婚直後は落ち着いていたのですが、同僚と風俗に行ったら今度は風俗通いがやめられなくなってしまって…。月10回は行きます。貯金を使い込んでいたのが妻の知るところとなり、いま揉めています」
会社員女性C美さん(39才)は普段は男性と会話するだけで顔が赤らむほど奥手なタイプ。しかし、「お酒が入るとがまんできなくなる」と話す。
「昼間は嫌悪感さえ持つ会社の同僚男性でも、飲み会で隣に座るだけで、ホテルに行きたくなってしまう。朝には必ず後悔するのに、やめられないんです。既婚の上司とそういう関係になったことがバレて、“おとなしい顔して”と噂が広まり、会社にいられず転職したこともありました。
いまは飲んだときは、初めて入るバーや居酒屋など知り合いのいない場所で相手を探します。もう男女のことで会社を辞めたくないので…」
主婦のD子さん(45才)は、不妊治療がきっかけになったと告白する。
「いくら不妊治療を続けてもうまくいかず、夫と夫婦関係はなくなりました。そんなとき、軽い気持ちで出会い系サイトに登録したのがきっかけでした。以降、“割り切り”前提で男性と会うように。男性に抱かれているときだけ、誰かに求められているという満足感が得られるんです。性病にかかったこともありましたが、夫にバレたことはありません」
性風俗への勤務経験がある女性も、依存に陥りやすいという。
「理由の1つは、不特定多数の男性と関係を持つことの警戒感が少ないことです。本来は妊娠や性病感染のリスクがあって、信頼できる男性以外とは性交渉を避けるものですが、ハードルが低い面がある。
もう1つは、“セックスをすれば快楽とは別に、金銭的な利益を得られる”という感覚が作られていることです。実際、セックス依存が疑われる女性のカウンセリングをしていると、過去に性風俗の経験があると告白する人は少なくない」(精神科の医師)