世界自然遺産に登録されている白神山地(時事通信フォト)
では、策定直後に日本中を襲ったコロナ禍の影響はどう出るのか──。佐竹知事は6月4日に開かれた全国知事会(テレビ会議方式)で、コロナ禍による人の往来が制限され、地方経済に悪影響が出ていることを指摘。「東京一極集中を是正しないことには、根本的にな危機管理の解消にならない」と訴えた。一方で、会議後の報道陣の取材には、今後は経済界を中心に地方に機能を分散化させる流れが出てくるとの見方を示したという。
地方には東京にない魅力がたっぷりある。秋田県でいえば、なんといっても日本三大美人県。古くは小野小町から桜田淳子、佐々木希、藤あや子、壇蜜など美人を多数輩出してきている。人口1000人当たりの美容院数も日本一。「美の国」なのである。
それだけではない。世界自然遺産・白神山地や田沢湖、乳頭温泉、玉川温泉など豊かな自然環境、「世界標準の国際教養教育」を発信し続けている国際教養大の存在や学力テスト上位常連実績に見る教育水準の高さ、世界的人気の秋田犬など、独自の強み、魅力がいっぱいある。
にもかかわらず人口減が続いている背景には、受け皿となる基幹産業が乏しいという理由もあるだろうが、数ある秋田の魅力に気が付いていない人々が県内外に多いということもあるのではないだろうか。
航空機・自動車産業の研究開発やICT基盤整備など産業振興による仕事づくり、県と継続的に関係を持つ「関係人口」の創出といった新しい人の流れづくりなどの構想を進めていく中で、秋田の魅力をこれまで以上に強く発信していったらどうだろう。
コロナ禍で東京一極集中のリスクが顕著になったことに加え、テレワークの浸透で人々の意識が変わり、東京から地方への流れが少しずつ進んでいく可能性は十分にある。その意味でも、人口減対策に取り組む秋田県の地道な取り組みが3年先、5年先にどんな結果をもたらすのか注目したい。