今回の主導的立場にいるミュージシャンで活動家の黒人男性がツイッターにこう書いた。

「救急隊はCHOPの人々が懇願したにもかかわらず、救助を拒否した。彼らはオレらの仲間が血を流しているのを30分放置した。彼が死ぬまで。クソ政治め。クソったれなこのぶっ壊れたシステムめ」

 このツイートにはアメリカ内外から多数のツッコミが書かれた。「お前らのエリアには入れないんだからしょうがないだろ」「お前らは自治領が欲しかったんだろ? そして自治領を得られただろ? バカなゲームをやり続け、バカな賞金を得ておけ」といった感じだ。これに対する日本人からのコメントは「アメリカ政府の介入を拒否しながらもアメリカ政府に助けてもらおうとはなんて都合が良いんだよ」といったものもある。

 一方ネット上では、黒人の男性が白人男性を突然殴り、近くにいた白人女性は気絶するものの周囲が何もしない動画が拡散している。これは数年前の動画なのだが、最近のものだと思った人も相次ぎ、「今では黒人がやりたい放題」といった印象操作をされている。ちなみにこの男は当時逮捕された。

 この状態がエスカレートすると保守的な白人が今度は態度を硬化させ、大統領選では一斉にトランプ氏に入れるようになるかもしれない。トランプ氏は再三CHAZに批判的なツイートをしていたが、今後白人の部外者や警官がBLM関連の活動家から撃たれて死んだ場合はWhite Lives Matter運動が発生し、劣勢とされているトランプ氏への追い風が吹くかもしれない。

●なかがわ・じゅんいちろう/1973年生まれ。ネットで発生する諍いや珍事件をウオッチしてレポートするのが仕事。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』など

※週刊ポスト2020年7月10・17日号

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