芸能

由利麟太郎では田辺誠一が好演 横溝作品の見所は「相棒」

『由利麟太郎』に主演する吉川晃司

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響でストップしていた連続ドラマがついに再開。吉川晃司初主演ドラマとして『由利麟太郎』が注目を集めている。このドラマは横溝正史の代表作のひとつ。これまで多くの横溝ドラマを見てきたコラムニストのペリー荻野さんが、その見どころについて解説する。

 * * *
 吉川晃司が元警視庁捜査一課の凄腕捜査官の犯罪心理学者を演じる『探偵・由利麟太郎』。『犬神家の一族』などで知られる金田一耕助シリーズの横溝正史原作作品だけに、初回から殺人予告、血が滴る冷凍庫の中の美女、謎のドクロ、秘密部屋の人体実験とおどろおどろしさ満点。設定が現代なのに、人体実験の記録がすべてノートに手書きというところも、いい感じだ。二話ではチェーンソー、三話ではピエロと昭和っぽい凶悪度、奇怪度も増してきた。

 長年、私は横溝作品に熱中し、石坂浩二版金田一映画の市川崑監督はじめ、テレビシリーズで主演した古谷一行、スタッフ、キャストに取材をしてきた。そこで気がついたのは、横溝映像作品の「もうひとつの楽しみ方」。それは、名探偵の「相棒」の面白さを見つけることだ。

 由利麟太郎には、ミステリー作家志望の助手・三津木俊助(志尊淳)がいて、無口な由利に代わって、「あ、そこから逃げたのか」「このベランダから外に」などと叫び、物語を引っ張る。が、ドラマにはもうひとり「相棒」がいる。京都府警の等々力警部(田辺誠一)である。等々力は、由利の大学時代の同期で、丸眼鏡にぼさぼさ頭。トレンチコートはよれよれで、角に触ったら手が切れそうな由利のブラックロングコートとは対照的だ。

 横溝作品ファンなら、「等々力警部」と聞いただけで、名優・加藤武の顔が思い浮かぶはず。石坂金田一の第一弾『犬神家』(1976年)で地元警察署長役だった加藤は、1977年の『女王蜂』1978年の『獄門島』、1979年『病院坂の首縊りの家』では等々力警部として、2006年の『犬神家』リメイク版にも署長として登場している。まだ、事件の輪郭もはっきりしていないうちに「よし、わかった!!」と手をたたき、間違った犯人を断定したり、慌てて粉薬を噴き出すシーンはすっかりおなじみとなった。

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン