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2020.07.01 07:00  マネーポストWEB

石井ふく子さんが明かす京マチ子さんへの思い 遺言書とお墓で喧嘩も…

石井ふく子さんは、涙ながらに京さんの「遺言」について語った(写真:共同通信社)

 遺言書が見つからない、相続財産の分配で遺族が衝突する、遺産が把握できない…故人の亡き後、さまざまな理由で“争続”は起こる。愛する家族がトラブルに巻き込まれないためには、最後の責任として「遺言書」を残すことがいちばんだ。しかし、死を前にしながら最後のメッセージを残すのは、簡単なことではない。日本を代表する有名人も、遺言に振り回されていた──。

 大正、昭和、平成、令和を生き抜いた女優の京マチ子さん(享年95)。『羅生門』(1950年公開)、『雨月物語』『地獄門』(ともに1953年公開)など、国際映画賞のグランプリを受賞した作品に次々と出演し、「世界で最も有名な日本人女優」と呼ばれる。プロデューサーの石井ふく子さん(93才)も、スクリーンの中の京さんに心を奪われた1人だ。

「『八月十五夜の茶屋』という映画でした。パッとふすまが開くと芸者役の京さんが立っていて、それがすばらしかったんです。なんとか京さんに近づきたいと思い、知り合いを通じて紹介していただいたんです」(石井さん・以下同)

 その後、ドラマや舞台など、十数本の作品で京さんと石井さんはタッグを組み、家族以上に気心の知れた仲となった。生涯独身を貫いた京さんは、長年マネジャーを務めていた女性が亡くなると、石井さんや女優の若尾文子さん(86才)、奈良岡朋子さん(90才)が住む都内の同じマンションに入居を決めた。

「京さんがひとりで遠くへ引っ越そうとしていたので、私が止めたんです。同じマンションに住むようになってから、お正月には必ず4人で集まって、おせちを食べながら毎年お祝いしていました」

“リアルやすらぎの郷”のような日々に、ある“事件”が起きたのは2018年の秋。突然、京さんから「明日、ちょっと来てほしい」と呼ばれ、石井さんが彼女の部屋を訪れると、そこには公証役場の公証人と税理士がいた。

「公正証書遺言の作成には、立会証人が2人必要になります。なお、相続人となる配偶者や子供は立会証人にはなれません」(司法書士法人ABC代表の椎葉基史さん)

 遺言書の立会人を任されるなど想像もしていなかった石井さんは、思わず京さんに怒りをぶつけてしまう。

「『なんで私が立ち会わなきゃいけないんですか!』って、怒っちゃったんです。彼女は私に何かを残したかったのかもしれないけど、そんなことは聞くのも嫌だった。京さんは『ごめんなさい』って、そればかり言っていました」(石井さん・以下同)

 実は、それ以前にも、石井さんは京さんに怒りをぶつけたことがあった。

 京さんのマネジャーが亡くなった際、納骨のため2人でハワイのお墓へ行ったとき、京さんが、自身のお墓も同じ墓地に買ってあることを明かしたのだ。

「まだ90才になる前でしたから、『そんなこと言わないでください!』って、ものすごく怒りました。京さんは笑っていましたが、私は、お墓の話なんて京さんとしたくなかったのです」

 そして2019年5月、京さんは心不全でこの世を去った。最期の日、病院へ駆けつけた石井さんが手を取ると、京さんはぎゅっとその手を握って「ありがとう、うれしい」と言葉をかけた。

 それから半年後の11月、京さんの遺骨は、生前購入したハワイの小高い丘にある見晴らしのいい墓に埋葬された。納骨を見守ったあの日から、石井さんは京さんのことを思い出さない瞬間はない。

「遺品として、遊女の役を演じている京さんの大きな写真をいただきました。今年の命日は、新型コロナでハワイのお墓へ行けなかったから、『京さん、ごめんなさい。そのうち行くからね』と、毎朝、写真に向かってお話ししています」

 大女優は、いつまでも石井さんの心を揺さぶり続ける。

※女性セブン2020年7月9日号

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