設楽邸の隣に、3階建てのビルが建つ。黒一色の設楽邸とは対照的に真っ白の外壁が目を引く新築の建物で、カフェや美容院などのテナントが入居している。
そのビルと設楽邸の間には、高さ80cm、幅10cm、奥行き20mほど、コンクリートブロックが設置されている。
「そのブロックの『擁壁』がトラブルのもとなんです」と語るのは、設楽邸に隣接するビルの関係者だ。
「そこはもともと一区画の宅地で、分筆した土地を設楽さんとビルのオーナーが購入して、それぞれの建物を建てたんです。2017年の初め、先に建物を建て始めたのは設楽さんでした。その際、土地の売り主が境界標(土地を区別する目印)をもとに『境界線がわかりやすいように、ブロックを積んでおきます』とビルのオーナーに伝え、ビル側の土地の内側に目印のブロックを2段ほど積んだそうです。“ここからこっちはビルの土地なので、工事でも入らないでください”という意味で置かれ、境界標と照らし合わせても、明らかにビル側の土地にありました」
だが、その目印のブロックが置かれた領域が、なぜか設楽の自宅の一部になっていたのだ。
「工事が進むとそのブロックは取りのぞかれ、その場所には設楽邸の基礎を支える『擁壁』が造られていました。慌てたビルのオーナー側が設楽さんの建築業者に『こちらは私たちの土地です。擁壁を崩してください』と何度要望しても一向に問題は進展しなかった。困り果てたオーナー側は設楽さんの所属事務所に連絡をしたそうです」(建設業界関係者)
すると後日、設楽の事務所関係者からビルのオーナー側に連絡があったという。
「ようやく話が進むかと期待したそうですが、設楽さんの事務所関係者は、『設楽は何も知りません。今後、設楽と接触しないでください』と言うばかり。そのため話がますますこじれてしまったようです」(前出・ビルの関係者)
◆境界線があるのにはみ出るのはありえない
結局、擁壁が撤去されないまま、2017年12月に設楽邸が完成。その後も弁護士を立てて話し合いを進めたが進展はなく、昨年9月に設楽邸の隣のビルが完成した。
「設楽邸がはみ出しているせいで、完成後に入居したテナントの看板が立てられないなどの実害があるそうです。一方で擁壁の撤去が決まれば、工事の間はお店の営業に影響します。ビルのオーナー側は“踏んだり蹴ったり”の状態といいます」(前出・近隣住民)
設楽のようなご近所トラブルはよくあるものなのか。住宅ジャーナリストの櫻井幸雄さんが指摘する。