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山崎豊子さんの秘書が明かす『白い巨塔』遺言書シーン加筆秘話

山崎豊子さんが作中に忍ばせた「遺言書」とは(「山崎豊子文化財団」の奨学生第1期生に奨学金と著書を手渡す山崎さん(写真左)と野上孝子さん(写真中央))(1994年)

山崎豊子さんが作中に忍ばせた「遺言書」とは(「山崎豊子文化財団」の奨学生第1期生に奨学金と著書を手渡す山崎さん(写真左)と野上孝子さん(写真中央))(1994年)

 遺言書に関して、7月10日から「自筆証書遺言書保管制度」という新たな制度がスタートする。自筆の遺言書は作った後に紛失したり、第三者が意図的に破棄するなどトラブルが多く、保管に難があった自筆の遺言書の問題点をクリアにし、積極的に遺言書を残してもらおうというのが新制度の狙いだ。

 遺言書が見つからない、相続財産の分配で遺族が衝突する、遺産が把握できない…故人の亡き後、さまざまな理由で“争続”は起こる。愛する家族がトラブルに巻き込まれないためには、最後の責任として「遺言書」を残すことがいちばんだ。しかし、死を前にしながら最後のメッセージを残すのは、簡単なことではない。各界の著名人たちは亡くなる前、どんな生前手続きを行っていたのだろうか。

 小説家・山崎豊子さん(享年88)の秘書として52年間にわたって支え、親族を超えた関係を築いた野上孝子さん(80才)。

『女系家族』『華麗なる一族』『大地の子』『沈まぬ太陽』など、社会に鋭く切り込んだテーマを追求し、数多くの大ベストセラーを生み出し続けた山崎さんの作家としての姿勢は、すさまじいものだった。

「先生は、朝から晩まで365日、小説だけにかかわり続けた人です。作家というのは、ただ漫然と書くのではなく、使命感を持って書くものだとおっしゃって、その姿勢を崩したことはなかった」(野上さん・以下同)

 いつもそばにいる野上さんは、山崎さんの新作の“最初の読者”としての役割も務めており、つねに意見を求められた。うまく答えることができず、「意見なき者は去れ」と追い出されたこともある。一切の妥協を許さない大作家の“無茶ぶり”に、何度も心が折れそうになったというが、その類いまれなる才能と人柄に惹かれて寄り添い続けた。

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