小池氏を描いた本はベストセラーに(写真/EPA=時事)

 例えば二階(俊博・幹事長)さんは派閥の領袖のご機嫌伺いをしたり、政党を渡り歩いた経験もありますが、このことについて誰も何も言わない。

 だけど小池さんには「女」というところがあって、批判も評価も過度にされるところがある。男性政治家に人望のない人がたくさんいる中で、小池さんがあそこまで否定されるというのは、女性による女性に対する嫌悪が見え隠れします。

 そしてどうしても引っかかるのが、こうした小池さんへの批判についてフェミニスト側から批判が上がらない点です。野党の女性でフェミニスト問題では日頃から何かあれば批判の声を上げるような人が、『女帝』に描かれた小池さん批判は文字通り受け止めている。

 それならば小池さんはどうすればよかったのか。女性らしく一歩引いて、目立ったことをやらなければよかったのか。ミニではなく、ロングスカートやパンツにすればよかったのか。

 あれだけお綺麗で、かつ才覚が利く人がいれば、実際に男性たちの目がくらんでいたのは確かだと思います。でもそうした男性に与えた影響を考える上では、小池さんを個人として否定するよりも、社会の問題だと受け止めるべきです。

 それに、世の中は上昇志向の強い人を許さないところがあるんです。女性の場合は特にそうで、そういう人がコケると叩く風潮がある。

 でも政治家というのは権力志向のある奇妙な人たち。小池さんを批判するなら、人望が少なく中身がないということを中心に批判すればいいのではないかと思うんです。

※週刊ポスト2020年7月10・17日号

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