◆コンビニ3社の中でファミマが大苦戦
だが、コロナウイルスの感染が拡大する中で、コンビニ大手3社の売上高はいずれも厳しく、5月は3社とも既存店売上高で前年実績を下回った。4月に比べて回復傾向があるものの、ファミマは前年同月比11.0%減、ローソンは10.2%減った。セブン-イレブンは5.6%減だった。
特にファミマは人口が集中する三大都市圏の出店がライバル2社に比べて多く、3月、4月、5月の3か月連続でファミマの減少率が最も大きかった。
「在宅勤務の広がりを受けてビジネス街や駅の近くの店舗の利用客が減った。昼メシはオフィスの近くのコンビニで買い、夕刻には自宅近くの店で缶ビールとつまみを、ついで買いするサラリーマンが激減した」(コンビニ担当アナリスト)
ファミマ「一人負け」の状態は、2020年2月期決算の1日当たりの平均売上高「日販」にも表れた。ファミマの日販は前期比2000円減の52.8万円。ヒット商品が出なかったことによる客数の落ち込みが痛かった。
最大手のセブン-イレブンのそれは65.6万円と前期並みを維持。おにぎりの値上げ効果に加え、総菜やデザート、店頭でいれるコーヒーの売り上げが伸びたという。また、ローソンの平均日販は4000円増の53.5万円。2019年3月発売のチーズケーキ「バスチー」を中心にデザートでヒット商品が相次いだ。
ファミマだけが平均日販を大きく落とした。しかも、ファミマの21年2月期の平均日販の予想は前期比7000円減の52.1万円である。さらに売る力が弱まるということだ。敗因はいろいろな理由が複合的に絡み合っているが、決定的なのはファミマの商品力の弱さだ。
「おにぎりのご飯の味は改善されたが、サンドイッチのパンでは、まだまだセブンに劣る。総菜の種類でもセブンに軍配が上がる。ローソンはデザートで強みを発揮しているが、ファミマにはポイントゲッターとなる商品が少ない」(前出のアナリスト)