癒しのホルモン「オキシトシン」

 皮膚に触れると癒されるのは、オキシトシンというホルモンの効果が大きいという。分娩時や授乳時に分泌されることでも知られるが、親しく触れ合ったりハグしたりすると分泌される。別名「愛情ホルモン」。

「子育てのためのホルモンで、夫婦間の絆を深め、協力して子供を育み愛情を注ぐように働きます。親しい友や恋人といるときのような安心で幸せな気分がまさにオキシトシンの効果。大人同士が仲よく親密な関係を築くために大切な役割を果たします」

 オキシトシンは継続的に分泌されると血圧が安定したり痛みが緩和されたりと、健康効果もたくさんあるという。

 ちなみに日本人は欧米人に比べてハグや握手が苦手だ。特に高齢者は抵抗感のある人も多い。これは遺伝的な違いが要因で、日本人はオキシトシンの“効きが悪い”タイプの人が多いのだという。

「欧米人は初対面でもハグをしてすぐに親しくなる。実はもともと警戒心が強く、ハグや握手はお互いに武器を持っていない証、警戒を解くための行為といわれています。一方、日本はほとんど顔見知りの村社会。警戒心を持つ必要がないため、ハグの文化が生まれなかった…というのも、遺伝の一因と思われます」

 しかし、日本もどんどん都市化し、他者は警戒すべき存在に。ハグも必要なのだ。

「人には“触れられる”ことが必要な時期が2回あると思います。ひとりでは生きられない乳幼児期、そして少しずつ助けが必要になる高齢期。いずれも不安を解消し、愛情を実感することが健やかに過ごす鍵なのです。乳幼児同様、高齢者も本来“触れられたい”欲求があるはず。躊躇や遠慮はがんばって乗り越え、老親に手を差し出してみましょう」

※女性セブン2020年7月30日・8月6日号

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