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2020.07.29 07:00  SUUMOジャーナル

「物件は水害ハザードマップのここです。」不動産取引の際に不動産会社による説明を義務化

(写真:PIXTA)

2020年の梅雨が長引き、7月下旬の4連休にも本州に梅雨前線が停滞した。大規模な水害リスクのある大雨への警戒が長く続いているが、土地や住宅の売買・賃貸の際に、不動産会社が水害ハザードマップについて説明することが義務化されることになった。詳しく見ていこう。【今週の住活トピック】
不動産取引時において、水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明を義務化/国土交通省2020年8月28日から契約の際に水害リスクの説明を義務化国土交通省は、不動産の取引時に、水害ハザードマップを活用して取引対象の所在地を事前に説明することを義務付ける法改正をする。施行日は8月28日。

2019年の梅雨時に九州地方で局地的な大雨による大規模な水害が発生したことを受け、国土交通省は同年7月下旬に、不動産の業界団体に対して、不動産取引時にハザードマップによる水害リスクの説明を行うように依頼をしていた。2020年1月には赤羽大臣が衆議院予算委員会で、この件を義務化する方向でいると示していた。

それを受けた今回の法改正では、「宅地建物取引業者(以下、宅建業者)に対し、水防法に基づき作成された水害(洪水・内水※・高潮)ハザードマップを提示し、対象物件の概ねの位置を示す」ことを義務付ける。
※内水…公共の水域等に雨水を排水できないことによる出水。法律の条文上の用語は「雨水出水」

水防法は2015年に改正され、従来の洪水による浸水想定区域を“想定しうる最大規模”の洪水に拡大すること、内水・高潮についても“想定しうる最大規模”の浸水想定区域を作成することなどが定められた。自治体は住民に対して、ハザードマップなどでこれを周知する必要がある。ハザードマップは、自治体が印刷物を配布したりホームページで掲載したりして、それぞれ公表している。

この水害(洪水・内水・高潮)に関するハザードマップ上で、取引をする対象物件がどこにあるかを示すことが、宅建業者に求められるようになる。ただし、自治体が水害に関するハザードマップを作成していなかったり、公表していなかったりした場合は、提示すべき水害ハザードマップがないことを説明すればよいことになっている。

宅建業者が不動産取引時に説明を義務化される「重要事項説明」とは?宅地建物取引業法では、宅建業者は不動産の売買契約を締結するまでの間に、購入予定者に対して購入物件にかかわる重要事項の説明をしなければならないと定めている。これが「重要事項説明」といわれるものだ。賃貸借契約の場合も、仲介する不動産会社を通して住まいを借りる場合(貸主である不動産会社と直接契約する場合は除外)は、入居者に対して重要事項説明を行う必要がある。

災害リスクの有無は、契約を結ぶかどうかの判断に大きく影響する。そのため、これまで重要事項として説明する項目を増やしてきた経緯がある。災害関連でいえば、対象となる宅地建物が、「土砂災害警戒区域内か否か」、「津波災害警戒区域内か否か」については説明する項目と定められている。ということは、8月28日以降に契約を結ぶ場合は、重要事項説明として、書面により土砂災害、津波災害、水害(洪水・内水・高潮)の危険性の高い区域内に対象物件があるかどうかの説明がなされることになる。

また、ハザードマップには避難所などの情報も掲載していることから、国土交通省は宅建業者に対して、説明の際に避難所についても場所を示すことが望ましいとし、たとえ想定区域内に対象物件が位置していないとしても、それで災害リスクがないと誤認することのないように配慮することも求めている。

検討段階で自らハザードマップを活用しよう大きな災害リスクについて契約前に説明がされるからといって、決して安心してはいけない。理由は、契約直前では遅いからだ。

重要事項説明が契約前に行われるとはいえ、そのタイミングは契約直前であることが多い。その場合は、契約をするか止めるかの2択しかない。検討を始めたころに情報を把握しておけば、新築住宅であれば、売主や施工会社に災害リスクを軽減する対策を施すように要求する選択肢もある。中古住宅であれば、リスク軽減の対策費用として売買価格を減額してもらうよう交渉する選択肢もある。つまり、早く情報を把握していれば、「リスクはあるけど希望条件にぴったりなので、リスクが軽減されるなら契約したい」とか、「契約しない」といった選択肢も生まれるわけだ。

加えて、重要事項説明では、地震に関する項目は義務化されていない。地震の災害リスクを予測することが難しいといった事情もあるが、住宅を検討するならば自治体が公表している地震防災・危険度マップなども確認しておく必要があるだろう。つまり、不動産会社任せではなく、自らハザードマップを調べるべきなのだ。

特に宅地建物を購入する場合は、ローンを利用して多額の費用を払うことになるので、不測の事態を想定したうえで購入を決断してほしい。近年は、数十年に一度といったレベルの大規模災害が頻発している。自治体が調査をして公表している情報については、できる限り情報を集めておくべきだろう。

(山本 久美子)

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