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浅草仲見世、コロナ禍での「家賃16倍増」の影響は?

家賃が改定された浅草仲見世の今は

 国内屈指の観光地として知られる浅草寺(東京・台東区)。ずらりと軒を連ねる仲見世商店街も大勢の観光客で埋め尽くされていたが、4月の緊急事態宣言発令以降、人の姿はぱったりと消えた。7月の4連休中は、仲見世商店街の人通りは以前少ないものの、客足はかなり戻っているように見えた。雷門前では人力車の車夫たちが客引きをし、浴衣に身を包んだ若いカップルが涼しげに散策していく姿があった。

 完全復活とはいかないまでも、これでひと安心か──。土産物店の店主に聞くと、暗い声でこう語った。

「Go Toキャンペーンも東京は除外されて、来るのは首都圏の人ばかり。いつでも来られるところのお土産なんて買わないでしょ。だから人が歩いているように見えても、売上はまったく戻らない。まさに商売あがったりだね」

 たしかに、店先で足を止める人の姿はほとんどない。間が悪いことに2018年、この仲見世商店街は家賃が大幅値上げされたばかりだ。北海道大学大学院准教授の岡本亮輔氏(宗教社会学)が解説する。

「値上げの直接の原因は、仲見世の建物所有者の変更です。再三の要望に応じて東京都が浅草寺に所有権を返還。それに伴い、浅草寺が固定資産税を支払う必要が出てきたための値上げです」

 改定後の家賃は、なんと16倍に。これまで10平米あたり月額1万5000円という格安の家賃だったが周辺賃料を勘案し、段階的に同25万円まで上がることになっている。

「江戸時代から賑わいをみせた仲見世は、幾度かの賃料改定を経験しています。1885年、家賃は現在の価値で5万~20万円程度だったにもかかわらず、希望者が殺到したと記録されている。又貸しが横行した1912年10月には当時の東京市が賃料を値上げ。さらに、関東大震災で壊滅した後も改修されて家賃が改定されています」(岡本氏)

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