芸能

下條アトムが決意した「絶対、いつかあそこで芝居をやるんだ」

下條アトムは役者の家に育った

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、役者の家に生まれた下條アトムが、役者を志し、その道へ入った頃について語った言葉をお届けする。

 * * *
 下條アトムは一九四六年に生まれる。父は下條正巳、母は田上嘉子という、両親ともに役者をしている家庭だった。

「親父が新劇をやっていたもので、ちっちゃい時から芝居を観にいって、役者しかないと思うようになっていました。妄想ですよ。その妄想で今まで何十年もやってきたんだと思います。

 魅力を感じたのは芝居の内容というより、楽屋にでした。ドーランの油のにおいと、皆さんの興奮──異次元の世界を見ちゃって動揺して、それでごく自然にハマっていったんです」

 高校卒業後、父の所属する劇団民藝の養成所に通い、役者としての道を歩み始める。

「高校二年の時に『どうしても役者になりたい』と親父に伝えました。すると『ダメだ。食えないぞ。先も何も見えなくて仕事にならない』と。それで僕は切り返しました。『じゃあ、そんな苦しくて食えなくてしんどい仕事を親父はなんでやっているの?』って。

 こたつで面と向かって話していたのですが、『それはお前──うーん』ってぐうの音も出なくなったんです。それで、仕方なく認めてくれました。

 民藝に入れたのはコネだと思います。役者としてのずば抜けた才能というか…スペシャルな感じはなかったでしょうから」

 しかし、民藝は三年で離れてしまっている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン