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2020.08.05 07:00  NEWSポストセブン

西松屋はなぜコロナの勝ち組になれたか 理系人材登用が奏功

パナソニックやシャープの技術者を採用

 もうひとつ西松屋の大きな特徴は、自社で開発するプライベートブランド(PB)商品にある。

 最初のPB商品は2010年に発売した「スマートエンジェル」ブランドのベビーバギー。折り畳み式乳母車だ。開発したのは、なんとパナソニックに吸収合併された三洋電機の生産子会社で働いていた技術者である。

 発売直後から評判は上々。その後、モデルチェンジを経て、2016年にはバギーfanロングプラスシリーズで「グッドデザイン賞」を受賞した。

 洋服では2015年発売のストレッチパンツが879円という低価格も支持され、年間100万枚を売る大ヒット商品に育った。子供服は「エルフィンドール」、雑貨は「スマートエンジェル」というブランドを展開。2023年2月期にPB商品の売り上げだけで900億円、全売り上げの半分をPBにすることを目指している。

 PBの開発を担う人材としてパナソニックやシャープなど関西のエレクトロニクス企業を退職した技術者たちを採用したのは、チェーン展開の指南をうけた渥美氏から「家電メーカーの技術者を採用して、生産管理などをやってもらったらいい」とアドバイスを受けたことを大村氏が覚えていたからである。

 ここで優秀な理系人材を何人か紹介しよう。取締役常務執行役員店舗運営本部長の坂本和徳氏は1983年、広島大学大学院工学研究科修士課程修了。松下電器産業(現パナソニック)を経て、2014年7月に西松屋に入社した。商品本部雑貨商品本部玩具商品部長、店舗運営本部長を歴任している。

 取締役執行役員社長室長の大村禎昭氏は大村社長の実弟だ。1983年3月、京都大学工学部を卒業し、同年4月、富士通に入社した。いくつかの会社を経て、2015年6月に西松屋に入った。管理本部業務システム改革部長としてシステムのレベルアップに貢献。商品本部長や衣料商品事業部長も経験している。

 常勤監査役の大橋一喜氏は早大政経学部卒。技術屋ではないが、1963年4月、山陽特殊製鋼に入社。関連事業部長や関連子会社の経営をした経験と見識を買われている。山陽特殊製鋼で大村社長の先輩ということになる。

 関西の電機メーカーの技術者たちは辞めたくて辞めたわけではない。会社が傾き、開発していた商品が世に出る見込みがなくなったため、仕方なく希望退職に応募した人たちばかりだ。仕事に対して不完全燃焼だったのである。そうした屈折した思いをバネに彼等はヒット商品作りにいそしんだ。

 この構図はアイリスオーヤマとどこか似ている。同社は今や有力な家電メーカーだが、大ヒット商品となったLED(発光ダイオード)照明など、大手家電メーカーを早期退職した技術者たちが作りあげたものだ。

 技術者は新商品開発の先兵であると同時に、中国や東南アジアの工場から商品を日本に運び、国内の各店舗にそれをしっかり届ける物流システムの担い手でもあった。製造業のノウハウがいろいろな場面で生きたのである。

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