新幹線で100%以上の混雑とはどんな状態か
つぎに、帰省時の列車の混雑について考えてみよう。新幹線などの特急列車の場合、混雑状態は、座席数に対する乗車人数の割合である「乗車率」で表す。乗車率100%は座席が全部埋まる状態だ。立席特急券の販売がない全席指定席の車両では、乗車率が100%を超えることはない。
お盆や年末の帰省時には、新幹線でも乗車率が150%を超えることがある。これは通路やデッキに人が溢れかえり、トイレにもなかなか行けない状態だ。昨年末には、東海道新幹線の博多行き「のぞみ」が東京駅を出る時点で、自由席の乗車率が180%に達するケースがあったという。
今年のお盆は、学校の夏休みの時期が8月中旬に限定されているケースもあるため、例年よりも休みの時期が分散されにくいといわれる。東京都などの呼びかけはあるものの、緊急事態宣言の出ていたゴールデンウィーク中に帰省・旅行をできなかった人が、お盆休みに実行するケースもあるとみられるため、日時によっては混雑が増す可能性もある。
新幹線での3密対策はどうすればよいか
それでは、帰省時の3密対策はどうしたらよいか? 新幹線を例に考えてみよう。
まず、意外に思われるかもしれないが、新幹線は空調や換気装置により、常に外気を取り入れる設計になっているそうだ。計算上、6~8分程度で車内の空気は入れ替わることとされている。「密閉」については、ひとまず安心できそうだ。
また、車内清掃作業では、殺菌効果のあるアルカリイオン電解水が用いられている。肘掛けやテーブル、ドアノブ、洗面台等は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を染み込ませた布での拭き取り消毒が行われているという。このように、座席や備品に付着するウイルスへの対策はできている。あとは乗客が石鹸での手洗いや咳エチケットをしっかりと行えば、「密接」についても対応できるだろう。
問題は、車内の混雑、つまり「密集」をどう避けるかだ。現在、新幹線などの特急は「エクスプレス予約」「スマートEX」「えきねっと」などのネット予約サービスが充実している。これを利用すれば、シートマップをみながら密を避けて座席を指定することが可能だ。
ただ、予約時にはすいていたはずだが、実際に乗車してみたら密集だったということも考えられる。その場合、(車両全体の空席状況にもよるが)車内で車掌に言えば、空いている席に替えてもらうなど、柔軟な対応がとられる場合もある。
また、鉄道各社では、予約状況から混雑が予想される場合には、列車を増発して車内の密を避ける取り組みをとることも検討されているそうだ。