意見交換会を前に、さっそく地元の漁業関係者が反対の声を挙げた。寿都町がある後志地方や隣接する石狩地方の9漁協でつくる「小樽地区漁業協同組合長会」が寿都町の片岡町長へ抗議する文書を全会一致で採択した。
「到底受け入れられず、地域はもとより全道漁業に与える悪影響は計り知れない」
と主張。8月21日に「応募に断固反対する」との抗議文を片岡町長に手渡した。近隣3市町村(黒松内町、蘭越町、島牧村)も反対で一致、近く寿都町に申し入れを行う。
そのほかにも様々な声が町に寄せられているという。
「札幌や本州、関西などいろんなところから電話がありました。中には頑張ってというものもありましたが、多くは反対の声でしたね」(町役場関係者)
さらに鈴木直道知事は8月18日、「1か月で判断するのは拙速だ」と町の姿勢を批判し、放射性廃棄物を受け入れがたいとしている道の条例順守を求める考えを示すとともに、「札束で頬を叩くようなやり方はどうなのか」と国の選定の手法にも疑問を投げかけた。波紋は広がる一方である。
そうした中、片岡町長は8月21日に町会議員たちとの意見交換会に臨んだが、議員たちの反応は賛否真っ二つに割れた。町長は9月中の方針決定について「状況によって延びるかもしれない」と語り、結論がずれ込む可能性も出てきている。
この問題は寿都町だけの問題ではない。全国にある932の町村のうち、人口が増えた自治体はわずか74しかなく、全体の91%、851自治体では人口が減っている。出生者が年間ゼロという村も存在している。高齢化も深刻で、老年人口が6割を超す超高齢町村が4町村もあるのだ。
過疎化、財政悪化が進む地方自治体にとって、今回の寿都町の騒動は決して他人事ではない。あなたのふるさとも同様の選択を強いられるかもしれないのだ。