そこに新型コロナの感染が広がったことで医療チームは正念場を迎えた。潰瘍性大腸炎の首相はハイリスクグループだ。厚労省の難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班は「炎症性腸疾患患者における新型コロナウィルス感染リスクについて」と題する文書でこう警鐘を鳴らしている。
〈感染では60歳以上の患者で致死率が高いことが示されており、80歳以上の患者の致死率は20%にもなる。したがって、高齢のIBD(炎症性腸疾患)患者は、特に免疫抑制の場合は、社会的距離の厳格化を含め地方/国の保健当局によって推奨されるすべての予防策を講じる必要がある〉
しかも、医師団が警戒を強めていた折も折、慶応病院で研修医18人感染というクラスターが発生した。官邸中枢は“パニック”に陥った。事情を知る自民党議員の1人が明かす。
「感染した研修医が病院内で医療チームのスタッフと接触していた可能性は否定できず、念のために医療チーム全員に改めてPCR検査を行なった。そのため、結果が出るまで総理を守る医療体制が手薄になった。その時、もともとの主治医の日比先生がフォローに回ってくれた。そうした経緯もあって治療方針に関して日比先生の発言力が大きくなっているという話です」
日比氏が勤務する北里大学病院に聞くと、「個別の案件に関しましては回答を控えさせていただきます」(広報課)と言うばかりだった。
※週刊ポスト2020年9月11日号