そこに菅官房長官が出馬となったものだから、派閥が次々と支持を表明。立候補を検討していた議員たちも続々と出馬を断念した。「安倍政権を継承することに意義がある」、「コロナ対策を継続的に進めるには菅氏が適任」とばかりに、一気に支持票が流れた。安倍首相のコロナ対策の評価が低いことなどは、事ここに至っては関係ないらしく、先に書いた「バンドワゴン効果」が起きたのだ。
人は周囲の意見や流れに影響されやすい。皆が支持をしている、人気があると思えば、「そちらを支持しよう」、「人気に乗り遅れたくない」という気持ちが強くなる。そして人気が人気を呼び、支持者が支持者を呼び込んでいく。それがこの効果だ。
まして「政治は数、数は力」と言うように、勝ち馬に乗った方が得と捉えるのが派閥であり政治の力学だ。菅氏には、5つの派閥、無派閥の複数グループが支持し、選挙権を持つ議員たちの約2/3が集まっているという。安倍政権では人事と情報を握ってきたと言われる菅氏だ。ここで彼のバンドワゴンに乗らなければ、この先冷や飯を食らうかもしれない。そんな心理も働いているに違いない。
会見では何時にもまして、今の日本の状況さながらの暗くて固い疲れた表情を見せながらも、安定感を見せた菅氏。バンドワゴン効果で権力闘争の駆け引きは菅一強の様相だが、一体どこまで票を伸ばすのだろうか。