Itsumo.調べによると、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い様々な活動が制限され始めた2020年2~3月において、ネットショップにおける買物行動は19%増となり、実店舗の利用は32%減となった。いまだ新型コロナウイルスの収束が見られない中、外出を控えるためにインターネット通販に頼るようになったという人は少なくないだろう。
しかし、インターネット通販では物足りない部分もある。実物が見られないためイメージがわきづらいとか、店員に質問などができず商品比較が難しいなどの点が挙げられる。そこで人気となったのが、先程、例に挙げたオンライン接客だ。LINEやZoomなどのメッセージサービスやWeb会議サービスなどを使っての接客が多く、自宅で対面に近い接客が受けられると人気が高まっている。そして意外なことに、普段の買い物ではなく失敗できないもの、価格帯がどうしても高くなるものでオンライン接客が選ばれているようだ。
ジュエリー、輸入車など幅広い分野が参入
前述のランドセルのように、子どものための買い物は失敗したくない。その代表格でもあるベビーカーのAIR BUGGYを提供するエアバギーストアでも、電話とZoomによるオンライン接客が行われている。自宅からリアル店舗につながり、画面を通して店頭の商品を見たり、ベビーカーの使い方などをスタッフに実演を交えながら聞いたりできる。簡単には来店しづらい妊婦や小さな子どもがいる夫婦などが対象となるので、来店せずに商品について詳しく知れるのは大きなメリットとなっている。
アパレルブランドの「ALLYOURS(オールユアーズ)」は、実店舗を休業してオンライン接客を行い、オンラインショップで昨年対比プラスの売上をあげた。「プライベートZoom接客」を行い、ヒアリングしながら顧客の好みに合わせた商品を選定。その後「自宅試着サービス」として自宅に商品を送り、試着をしてもらい購入につなげる仕組みだ。サービス利用者は、都内や関東近郊の顧客と遠方の顧客が半々。興味があったが来店したことがない、または遠くて来られない新規顧客が多かったという。もともと大量生産で服を余らせるより暮らしにあった服を提案するコンセプトのもと、SNSに強いブランドであったこともオンライン接客とフィットしやすかったのだろう。
その他、ジュエリーブランド「ポンテヴェキオ」がブライダルリングの相談・注文を受け付ける完全予約制オンライン接客サービスを行ったり、「アウディジャパン販売」が車を撮影しながら映像を配信、ネット上で商談を進めたり、「住友不動産」が全国全ての販売物件を対象に物件見学から引き渡しまでオンラインで完結する仕組みを導入するなど、多くの分野がオンライン接客に乗り出しているのだ。
これまで「対面でなければ」と思いこんでいた多くの分野がオンライン接客に乗り出しており、一度も現物を手に取らずに購入を決めるケースも多くなっているのが現状だ。
対面と通販の良いとこ取りのオンライン接客
オンライン接客が好評な品目やジャンルをみると、ある共通点がある。失敗できないと考えている、日常的なものよりも高い価格帯の買い物が目立つのだ。従来は、そういった特別な買い物ほどリアルの接客が選ばれると言われてきたし、購入者もそちらを選んできた。ところが、実際には環境さえ整えば店舗でのリアルよりも買い物がしやすいこともあることに、気づいてしまった。
販売するための手法は、対面販売、インターネット通販、電話営業、ダイレクトメールや葉書などがある。ここに今回、オンライン接客が加わった。従来の有人チャットでのカスタマーサポートもオンライン接客の一つだが、さらに一歩進んで画面越しで商品を見ながらのやり取りが、コロナ禍によって迫られた側面はあるものの、普及しつつあるのだ。