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セダンの不人気は今後も続くのか 意外な魅力を体感した3台

SUVが主流であり続けるとは限らない

 そんな中、セダンの新たな活路をスペシャリティ化に見出している例が見受けられるようになってきた。日本でも見ることができるのはプジョー『508』とボルボ『S60』。登場時期が近いこの両モデルについて関係者が奇しくも共通して口にしたのは「脱主流派」。セダンはもはや傍流という現実を素直に受け止め、「あえてセダンに乗る」という層への訴求を狙って作ったというのだ。

あえてセダンに乗りたい層への訴求を狙ったプジョー「508」

あえてセダンに乗りたい層への訴求を狙ったプジョー「508」

 どちらも非常に高質感のあるインテリアと、大胆さを感じさせるエクステリアを持っており、関係者の言葉どおり完全にスペシャリティ志向である。果たして世界販売を見ると、絶対的な台数は先の量販3モデルには及ぶべくもないが、そういう仕立てにする前の旧型モデル比では大幅に販売台数を伸ばしているのだ。

 セダンが少数派になるのであれば少数派のように作ればいいではないかという開き直りで事態を打開できる確信を持っていたわけではないと両社は言うが、成果は大いに出せたと言っていい。

ボルボ「S60」

ボルボ「S60」

 販売が落ち込む低車高モデルの象徴となってしまった感のあるセダンだが、今のようにSUVが主流であり続けられるとは限らない。先に述べたように、SUVは重く、空力的にも不利という特性があり、CO2規制が急速に強められているという世界のトレンドに反している。環境NGOのCO2削減策に付和雷同しているヨーロッパのユーザーがSUVに走っているのを見ると、何たる言行不一致と思うくらいである。

 今、自動車メーカーがSUVに傾倒しているのは売れるクルマを作るという商売上の判断によるものであって、この車型がクルマとして最良という確信があるわけではないからだ。また、ユーザーサイドもクルマのハイテク化に伴って今以上に車両価格が上がれば、SUV離れを起こして低車高モデルに帰ってくる可能性も十分にある。

 そんな時代が来たときに新たな勝利者となるのは、淡々と安物を作るというスタンスから脱し、低車高モデルをどうやったら特性を生かして魅力的にできるかということに真剣に取り組んだメーカーだろう。今後の展開が興味深いところだ。

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