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コラム

2020.09.15 07:00  マネーポストWEB

業種別「お金の貯め時」 飲食業は40代、金融業は50代が年収のピーク

これまで考えていた人生設計の変更を迫られる?(写真/AFLO)

 今、私たちが生きている「超高齢社会」では、年金や医療などの社会保障費の財源確保が厳しくなっている。そのため多くの人が、「いずれ医療費や老後のお金を自分で賄う時代が来るだろう」と意識し始めている。だからこそ節約と貯蓄に励むのだろうが、厚生労働省の統計を見ると、貯蓄すべき時期も変わりつつあることが分かる。金融ジャーナリストの鈴木雅光さんが解説する。

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 40~50代半ばの知人に、貯蓄について話を聞いてみると、子供の教育費、住宅ローンなどでなかなか貯蓄にまでお金が回らないという声をよく聞く。定年後も、雇用延長や再雇用で長く働いて、少しでも老後資金を作ろうと考えている人が多いようだ。

 老後資金のための貯蓄の時期を考えるうえで、厚生労働省が作成している「賃金構造基本統計調査」が参考になるかもしれない。これは、年齢別、男女別、都道府県別、企業規模別、業種別に平均賃金を調べたもの。これによると、たとえ長く働いてお金を稼いだとしても、よほど節約に励まない限り老後資金は作れないかも知れない、という厳しい現実を目の当たりにするはずだ。

「令和元年賃金構造基本統計調査」をわかりやすくまとめたGD Freakの推計によると、「全産業」で、従業員1000人以上の会社に勤める人の年代別平均年収は、20~24才以下で348.8万円。その後30~34才以下で530.5万円、40~44才以下で645.1万円とどんどん上昇し、50~54才以下で756.4万円とピークを付ける。だが、55~59才以下で731.1万円と若干ダウンした後は下がり続け、60~64才以下になると473.2万円まで減少する。つまり、雇用延長や再雇用に該当する60~64才以下で稼げるお金は、ピーク時の約60%にしかならないのだ。ちなみにこの数字は全平均値のため、都道府県別や男女別は考慮されていない。

 産業別でも見てみよう。「製造業」で従業員1000人以上の会社に勤める人の平均年収は、20~24才以下で374.5万円、40~44才以下で685.3万円、50~54才以下で824.6万円と、前述の全産業と比べると高めだが、55~59才では813.4万円と若干下がり、60~64才以下になると455.1万円と、雇用延長してもピーク時の55%程度しかもらえないことになる。

「宿泊・飲食業」の場合は、年収のピークが40代前半と早い。同じく従業員1000人以上の大企業の場合の年代別平均年収は、20~24才以下で299.4万円、30~34才以下で387万円となり、40~44才以下で482.5万円とピークを付ける。50~54才以下で459.8万円と下がり始め、60~64才以下では329.3万円と30代の時の年収より低くなってしまう。

 一般的に給料が高いとされる「金融・保険業」は、50代後半から年収が急減する。従業員数1000人以上の大企業で見ると、平均年収がピークを付けるのは50~54才以下の824.9万円で製造業と大差はないが、55~59才以下では664.9万円と150万円以上激減し、60~64才以下になると454.2万円になる。

 このように、雇用延長、再雇用して稼げるお金は思っているよりも少ないうえ、業種によって年収のピークも大きく異なり、40代から年収が減少し始める人もいる。子育てがひと段落した頃にマイホームを購入し、子供が独立する定年前から貯蓄に励んで……というこれまでの“常識”とされる人生計画を想定していると、老後に立ち行かなくなるのは明白だ。

 特に、年収のピークが早い宿泊・飲食業や、年収がピーク時から一気に激減する金融・保険業などは、かなり計画的に老後を意識した資産づくりに励まなければならない。これらはあくまでも平均値だが、自分の収入が年齢に伴いどう変化していくのかを把握することで、ライフプランを立てる際の参考になるはずだ。

【プロフィール】すずき・まさみつ/金融ジャーナリスト。岡三証券、公社債新聞社の記者などを経て独立し、有限会社JOYntを設立。投資信託や資産運用を中心に雑誌やオンラインメディアに寄稿する他、出版プロデューサー兼ライターとして230冊以上の単行本の企画・制作を手掛ける。

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