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2020.09.16 05:03  産経ニュース

「1強」去り…自民の力学変化 二階氏の影響力、さらに大きく

「1強」去り…自民の力学変化 二階氏の影響力、さらに大きく

 自民党役員人事は、総裁選で菅義偉総裁を支持した5派からベテラン勢を起用する「派閥均衡型」が目立った。党内では、菅政権誕生の流れをいち早く作った二階俊博幹事長の影響力が強まることへの警戒感が消えない。無派閥で党内基盤が脆弱な菅氏は、これまで「1強」として党内を統率してきた安倍晋三首相の重しが外れることもあり、細田派(清和政策研究会)など主要3派に手厚く配慮したとみられる。

 主要3派、四役がっちり

 「論功行賞だとはつゆほども思っていない。自民党への偏見だ」

 再任が決まった二階氏は15日、新役員による共同記者会見で、総裁選で菅氏を支援した派閥優先の「恩賞人事」との見方を色をなして否定した。

 だが、二階派(志帥会)を率いる二階氏は、同じく再任が決まった石原派(近未来政治研究会)の森山裕国対委員長とともに、いち早く菅氏を総裁選に担ぎ上げた立役者。2人の要職起用は半ば既定路線だった。

 菅氏の支援に回った主要3派は、細田派が下村博文政調会長、麻生派(志公会)が佐藤勉総務会長、竹下派(平成研究会)が山口泰明選対委員長と、すべて党四役ポストを手に入れた。党幹部は「人事の狙いははっきりしている」と論功行賞をにおわせる。

 菅氏から絶大な信頼

 今回の総裁選では派閥間の主導権争いも浮き彫りとなった。真っ先に菅氏の支持を打ち出した二階派に対し、やや出遅れた細田、麻生、竹下の3派が反発。菅氏支援を発表した共同記者会見に二階氏を呼ばず、「二階派が抜け駆けするからだ」と不満の声も駆けめぐった。

 二階氏は15日の会見で「党内の小競り合いは絶対に生じさせてはならない」とも語ったが、絶大な権限を持つ幹事長職の続投には「古い政治が全く変わらない」(若手)と世代交代を求める声もくすぶる。

 しかし、菅氏はこうした不満をよそに、「最も頼りがいがある」と二階氏に絶大な信頼を寄せる。デジタル庁創設など省庁再編には既得権益を守ろうとする勢力の反発がつきものだが、老練な二階氏に抵抗者の懐柔を期待しているとの見方がある。

 実際、二階氏には菅氏が希望を抱くに足る“実績”がある。自民党内でも反対が根強かった平成17年の郵政民営化をめぐり、小泉純一郎首相(当時)から衆院郵政民営化特別委員会の委員長に任命され、持ち前の政治力で郵政民営化法案を可決に導いたのが二階氏だった。

 派閥バランスと改革の道筋

 とはいえ、菅氏の改革が小泉氏のと同様、党内の反発を二の次に考えられるほどの「民意」の後押しを得られるのかは不透明だ。

 これまでは、最大派閥の細田派出身の安倍晋三首相が強い影響力を持ち、党内の政局を安定させていた。しかし、無派閥の菅氏には、主要3派が足元をみてさまざまな注文をつけることも予想され、改革が暗礁に乗り上げかねない。

 「二階派を立てれば主要3派が立たず」の袋小路に迷い込む危険もある。菅氏は当面、派閥の力学を分析し、改革実現への道筋を模索することになりそうだ。

 (力武崇樹)

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