「アイドルやグラドル業界でも、ここ数年で、ファンが課金した金額を競うオーディションイベントが広がり、『お金を払ったんだから、自分の要求に応えてくれ』という態度のファンが問題視されています。これはミスコンのような無課金の投票イベントにも言えることです。ひとりで何度でも投票できるルールなら『俺がこんなに頑張ってるんだから』というファンが出てきてしまうし、ひとり1票にしたところで、複数のアカウントを作って、『生意気言うと投票してやらないぞ! 俺は別のアカウントからも投票できるんだ!』などと言い出す人がやはり出てくるはずです。ファンの頑張りによって勝敗が左右されるシステムの中では、どうしてもファンの発言力が強くなり、女の子との力関係が逆転してしまうんです」

 熱心なファンによる頑張りは、イベント全体の盛り上がりにつながる一方で、「女の子へのハラスメント」につながる危険性をはらんでいる。トラブル防止の方法はないのだろうか?

「まだ業界全体で対応策が見つけられていないのが現状です。運営がSNSをチェックすることは全く無意味なわけではありませんが、候補者全員のアカウントを24時間ずっと監視することは不可能でしょう。また、SNSアカウントのフォロワー数が人気のバロメータとして機能し、チャンスが回ってくる現実もあります。それで女の子たちが『じゃあフォロワー数を増やそう』と考えた結果、一部の変なリプライやDMを拒否しきれず病んでしまう。

 大々的に投票イベントをやる以上、どうしてもファンをヒートアップさせて盛り上げないといけませんが、ヒートアップした競争の中では、ファンも『これだけやったのだから見返りがあるべきだ』的な図々しさを持ちやすくなりますよね」(吉田氏)

 あくまで大学生主導のイベントであるミスコンだが、広告代理店や芸能事務所とのつながりがある場合も多く、「学生が主催するイベントとしては規模が大きすぎるのではないか」と指摘する声も上がっている。ネット投票によるイベントの盛り上がりが生み出す暗部とでも言うべきクソリプ問題への対処は、学生たちの手に余るのではないだろうか。

●取材・文/原田イチボ(HEW)

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