アメリカの株価は次第に回復してきているが(AFP=時事)

 この件に関しては、世論を見ても政治の常道から考えても、トランプ陣営への批判が強いのは明らかだ。最高裁判事の任期は終身なので、ここで6対3の状況を作ってしまうと、この先何十年にもわたって最高裁の決定は保守的判断一辺倒になる可能性があり、それに対する国民の違和感や危機感は強い。当然、民主党やリベラル勢力は、トランプ氏や共和党を徹底的に叩くだろう。不安な世相が広がり、今よりも過激なデモや暴動が起きる恐れも日に日に高まっている。トランプ陣営がこのまま突き進むようなら、大統領選挙で態度を決めかねている中間層も、一気にバイデン支持に傾くことが予想される。

 M氏に、「国民に一党独裁国家のような印象を与えれば、トランプ離れ、共和党離れが進むのではないか」とぶつけると、「残念だが、もうそうなっている。我々がトランプ支持を貫くのは、民主党大統領予備選を戦ったバーニー・サンダース氏やエリザベス・ウォーレン氏といった極端な左派、社会主義者が増えているからだ。彼らが国の中枢を担うことがないよう、対抗しなければならない」という。

 確かに民主党の中には極端な左派が増えている。しかし、バイデン氏は穏健派であり、社会主義者というレッテル貼りには無理がある。その点を指摘するとM氏は、「確かにバイデン氏は社会主義者ではないだろう。しかし、これまで以上に左寄りの政策を取らなければ基盤である民主党員が納得しなくなる。バイデン氏は苦しい立場にある」と指摘した。

 最後にM氏に、「ではアメリカ経済はどうなるか」と質した。
「今のアメリカは経済活動が平常時の半分くらいに落ちている。まもなく持ちこたえることができなくなる。コロナワクチンの開発を急ぐのは当然だ。今年中にワクチンが完成すれば、来年6月くらいにはコロナ以前の経済に戻せると予測している」

 トランプ大統領が「年内にワクチンを完成させる」と連呼しているのは、もちろん選挙対策の一環ではあるが、その視線は、未知の病に怯え苦しむ国民というより、ウォール・ストリートや産業界に向いているのだろう。

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