ランウェイを歩くみちょぱこと池田美優(時事通信フォト)

ランウェイを歩くみちょぱこと池田美優(時事通信フォト)

 そして、今回の『FREEZE』の特徴である勝ち残り戦が冒頭の「みちょぱ、ごめん!」へと繋がる。下記が全9回戦の出場者である。

第1回戦 武蔵(チャンピオンチーム)VS野呂(女性チーム)VSせいや(芸人チーム)
第2回戦 真壁VS大島VS藤本 
第3回戦 本間VSみちょぱVS松本
第4回戦 亀田VS丸山VS小峠
第5回戦 武蔵VSみちょぱVSせいや
第6回戦 本間VS大島VS小峠
第7回戦 真壁VS丸山VS小峠
第8回戦 本間VSみちょぱVS小峠
第9回戦 武蔵VSみちょぱVS小峠 

 我慢強い人が生き残るシステムなだけに、参加者の負担の差が大きい。チャンピオンチームはほどよく全参加者に対戦数が分散されているが、女性芸能人チームからは9度のうち4回、4/9みちょぱが出場する。芸人チームに至っては5/9、半分以上を小峠が耐え続けた。小峠は芸人なのでリアクションをまだ面白いと感じることは出来るが、みちょぱの場合、そうはならない。芸能界の権力者であり企画立案者、松本が考案した『FREEZE』というゲームをどうにか成立させるために我慢しているようにしか見えない。だから、誰よりも高いプロ意識を持つみちょぱに「みちょぱ、ごめん!」と謝罪したくなる。「バランスの壊れたゲームに付き合わせて本当に申し訳ない」と。また、みちょぱの奮闘っぷりを称える面々のコメントも空虚なんだ、これが。

「(ガマンをしている)みちょぱ、いい顔するなぁ」「みちょぱはキレると強い」。そして、最も飛び交った言葉が「みちょぱはすごい!」。空元気な激賞っぷりは、なんだか、ヤンキーが地元の先輩の武勇伝を褒め称えているみたいで。同時にその際に生まれる妙なこそばゆさを感じた。そもそも、負けたプレイヤーが勝者の耐え方を批評することが難しい。勝ち残り戦だと敗退した人間がゲームの外に出てしまう。勝ったチームに点が入るポイント制にして、いったん個人が敗退しても繰り返し勝負に関わる形をとれば、もう少し批評性を保てて良かったのに……。

 更に申し訳ないのが、みちょぱ が電気ショックを与えられ、汚物まみれになり、入れ歯を美しい顔に押しつけられたところでそれほど多くの笑いを獲得できていない点だ。長年、笑いを哲学してきた松本の企画とは考えたくないほどに『FREEZE』で破顔することはなかった。つまり、試聴時間のほとんどが笑いではなく、みちょぱへの同情に割かれた。それは出演者も同じだったようで、霜降り明星のせいやに至ってはゲボをぶっかけられたみちょぱを横目に「何でこんなキレイな子がゲロまみれになって……、この世界なんやろと思った」と涙を流していた。

 松本は言語化できない微妙な感情を笑いにしてきた。しかし、笑いの同業者が同情の涙を流してしまう『FREEZE』からも、新たな笑いを見出すことが出来たのだろうか。終始、そこが気になって仕方がなかった。

●ヨシムラヒロム/1986年生まれ、東京出身。武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。イラストレーター、コラムニスト、中野区観光大使。五反田のコワーキングスペースpaoで月一回開かれるイベント「微学校」の校長としても活動中。著書に『美大生図鑑』(飛鳥新社)

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