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トランプ氏コロナ感染でも泥仕合を続ける大統領選挙の醜悪さ

仮病説まで出る醜い戦いが続いている(AFP=時事)

 トランプ大統領のコロナウイルス感染で、アメリカ大統領選挙は前代未聞の展開になっている。情勢はバイデン氏が圧倒的に有利になりつつあるが、結果がどうであれ、この大統領選挙が今後のアメリカに残す禍根は大きい。ニューヨーク在住ジャーナリスト・佐藤則男氏は、両候補の態度に「アメリカの劣化」を見ている。

 * * *
 トランプ大統領とバイデン前副大統領は、本当に仲が悪いのだと思う。同じアメリカ人であり、アメリカの政治をリードしていく大統領職を争う人物として、大変失礼だが、どちらもふさわしくないとさえ思う。

 まず、トランプ氏は、自分がコロナウイルスに感染し、クリティカルな状況にもかかわらず、バイデン氏に対して何もメッセージを伝えていない。また、バイデン氏からは、感染が明らかになってから7時間たっても、トランプ氏に見舞いのメールは届かなかったという。普通は、挑戦者が大統領に気遣いを見せるのが当たり前である。二人とも相手に対する敬意が全く感じられない。

 イラン革命さなかの1979年11月、首都テヘランでアメリカ大使館が革命派の学生に占拠され、大使館員が人質となる事件が発生した。イラン革命政府はアメリカに亡命したパフラヴィー元皇帝の引き渡しを要求したが、アメリカがそれを拒否したことに憤激した学生が起こした事件だった。大使館員ら52名が人質となり、アメリカ政府は報復をほのめかして交渉に当たったが、事態は難航した。

 そして1980年4月24日深夜、アメリカの特殊部隊による人質救出作戦が決行された。ウィキペディアによると、8機のヘリコプターがアラビア海に停泊中のアメリカ艦船から飛び立ち、時を同じくして6機の輸送機がエジプトからイランに向かった。両部隊はイランの砂漠で落ち合い、また別な場所に移動してから、陸路テヘランへ向かうことになっていた。すでに5か月にわたって囚われていた人質たちは、心身ともに限界に達していた。

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