黄疸とかゆみは肝臓病か
きくち総合診療クリニック理事長の菊池大和さんが最初に挙げるのは、肝臓の病気だ。
「かゆみが兆候となる病気で特に多いのが、肝臓疾患です。ウイルス性の肝炎や肝硬変、お酒の飲みすぎによる肝機能の低下など肝臓になんらかの異常があることが疑われます」
かゆみの原因は、「ビリルビン」と呼ばれる赤血球の主要構成物質だ。
「肝臓の働きが弱まると、血液に含まれる『ビリルビン』の濃度が上がり、かゆみを引き起こすことがわかっています。
ビリルビンは古くなった赤血球が分解される過程で生まれる物質で、通常は肝臓で処理されて体外に排出されます。しかし、肝臓の処理能力が低下すると、排出されずに体内にたまるため、血中のビリルビンが増えてかゆみを感じるのです」(菊池さん)
そのかゆみが肝臓疾患由来かどうかを見分ける1つのサインは「黄疸(おうだん)」だ。
「肝臓、胆嚢、膵臓などのがんや、肝炎、肝硬変、胆管炎などで黄疸が出ると、激しいかゆみを訴えることがあります。皮膚が黄色くなるのは柑橘類の食べすぎでも起きますし、良性である体質性黄疸でも白目が黄色くなりますが、病的かどうかは血液検査などでわかります」(亀谷さん)
ただし黄疸が出ていなくても、かゆみが肝臓疾患のサインだったというケースがある。柴さんが言う。
「虫に噛まれたような発疹が全身にできたので、ダニが原因だと思ってくん煙をたいていた人がいました。ですが検査してみると結節性痒疹という病気で、肝臓の機能低下が原因でした。
ほかにも、血液検査では肝臓の数値に異常がなくても、実は脂肪肝で、肝臓に負担がかかっていたというケースもあります」
※女性セブン2020年10月22日号