ごみの分別は大きな課題(時事通信フォト)

ごみの分別は大きな課題(時事通信フォト)

「年金暮らしの高齢者も同居の子どもも、ここに住んでるのは金ないからね。あとは賃貸に出しちゃってる人も多いよ。で、貸したっきり連絡がとれない人もいる」

 組合長によれば年金暮らしで金のない年寄りはもちろん、その子どもも同居している世帯もあるそうだが、みんな金がなく、何をしている人かわからないそうだ。

「働いて無い子どもがいるって愚痴も聞くよ。そいつ、親の年金で食ってるんだ。子どもったっていい年した大人だよ。まともな子どもはとっとと出てって賃貸にまわしてる。売れやしないし、売れても二束三文だからさ」

 このマンション、駅から歩けるような距離にはない。正直、不動産屋が本人の気晴らしも兼ねて車を出してくれなかったら訪ねたかとうか。高度成長期にはこんなところでもニューファミリーがこぞって分譲マンションを購入した。

「建て替え? 無理無理。修繕だって決まんないのに」

 建前では大規模修繕だと区分所有者の4分の3は必要だ。建て替えだと5分の4が賛成しなければならない。お金に余裕のない住人が大半で、多くは賃貸に回っている状態の虫食いマンションでは朽ち果てるのを待つしか無いわけか。

「資産価値なんかないからね。賃貸に出したって安いもんだよ」

 安くたってこんなマンション、賃貸で借り手はつくのか。組合長は私にこっそり耳打ちしてきた。

「そりゃまともな日本人は住まないよ。まともじゃない日本人と外国人だ」

 まともじゃない日本人とはどういうことか、組合長によれば「誰かに見張られてる」とか「UFOの迎えを待ってる」と叫ぶ住民が越してきたことがあったそうだ。別のよくわからない男女が越してきた時にはDVで傷害事件に発展したことがあった。警察もこのマンションは重点的に回ってくれるという。

「まあ警察に目をつけられるのはありがたいけどね、無料の警備員みたいなもんだ」

 事件ばかりの治安の悪い老朽マンションだからこそ警察がしっかり巡回してくれるというのはなんとも皮肉だ。

「外国人はそんな連中よりはマシだ。みんな大人しくて気さくだよ。ただ日本語よくわかんないの多いし、大人数で住むのがね、文化も違うしさ」

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