半田:以前、出演したドラマで、主演女優の2人が『ひとりじゃないの』を歌う場面があって。真理ちゃんが歌っているわけでもなく、雰囲気も全然違うのに、とてつもなくいい曲に聴こえたんです。「ああ、誰が歌ってもいい歌なんだと思える曲を作るのがプロなんだな」と、そのときに再認識しました。
田中:私の6位は、伊藤つかささんの『少女人形』。これは、曲自体が彼女の存在にぴったり合うっていうのと、少女人形という言葉がいいなと。あと、伊藤さんや菊池桃子さんみたいな歌手はもう出てこないだろうなと思っていて。
半田:もう出てこないと……。
田中:はい。カラオケが普及したことで、こなれ感なく素朴に歌うのって、逆になかなか難しいと思うんですよね、これからの時代。
半田:ものまねになっちゃいますもんね。
田中:そうそう! 本当にピュアな状態で歌っていた伊藤つかささんって、いま思えば貴重な存在だったように思います。5位は小林旭さんの『熱き心に』。これはもう聴いた瞬間、雄大な曲だと。私の中で大スターが身近になったじゃないですけど「こういう曲も歌ってくれるんだ〜」って思った、すごい曲なんです。
半田:わかりますよ。銀幕スター然とした人で、それまでは映画主題歌を歌っていた小林旭さんが、大滝詠一さんが作るポップスに降りてきたっていうイメージですよね。
田中:そう。意外性の発見というか……新鮮さというか。私もたまにカラオケで歌いますが、大変爽快な曲ですね。4位は郷ひろみさんの『お嫁サンバ』。最初に聴いたとき、変な曲だけど楽しい!って思ったのを覚えています。
半田:これはもう、郷さんしか歌えないですもんね。
田中:そうなんです。80年代特有のお祭り感を感じました。
さにー:私の6位は『ハッとして!Good』。田原俊彦さん好きっていうと、意外に思われることもありますが、たしかに歌唱力は微妙かも、ですが、過小評価されている1人だと思うんです。
半田:シングル曲のトシちゃんは、うまいんですよね。結局は、何に比べて下手かというと新御三家の3人。でも「これ、トシちゃんだよね!?」ってわかる声と歌い方を持っているのは、それだけでもうプロの歌手なんです。
田中:私もトシちゃん大好きです。カラオケで『哀愁でいと』(1980年)を歌うと、あの曲って延々とテンションが低いんですよ。ああいう曲を聴かせられるトシちゃんって、実はすごい歌手じゃないかって、最近思うことがあります。
半田:わかる! 田原さんってエンターテイナーでもありますから、ダンスも抜群!
さにー:曲のアレンジも好きなのですが、田原さんの曲って、ジャズっぽくスイングしてますよね?
半田:そうそう、デキシーランド・ジャズみたいなね。
さにー:『チャールストンにはまだ早い』(1984年)がビッグバンド風だったり。
田中:いいですよね、あれ!