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樹木希林さんも実践した「孫への贈与」、相続対策として注目集まる

樹木希林さんと同様に、生前に「孫へ贈与」する人が増えているという(AA/時事通信フォト)

樹木希林さんと同様に、生前に「孫へ贈与」する人が増えているという(AA/時事通信フォト)

 新型コロナウイルスの影響で、相続対策について考え始める高齢者が増えているという。

「志村けんさんや岡江久美子さんが感染し急逝されたことで、自分にも“もしものことがあったら”と考える人が増え、相談に来るケースも増えています」

 そう話すのは相続対策を行う夢相続代表の曽根恵子さんだ。一般的に相続対策とは相続税の節税を指すことが多いという。「うちは相続税がかかるほどの財産はない」と思っている人も少なくないだろうが、2015年の民法改正で相続税の基礎控除額が大幅に変更され、相続税を支払う人は、2019年には全国で約12人に1人、東京都では約6人に1人まで、拡大している。

「東京だけでなく、横浜や名古屋、大阪、京都、神戸、さらには福岡などの大都市圏に住んでいる人は油断禁物です。不動産や一定の金融資産を抱えていれば、相続税が発生する可能性があります。早めに対策をしておくことをおすすめします」(曽根さん・以下同)

 相続といえば、被相続人が亡くなってから発生するものだが、それでは遅い。死ぬ前に相続対策を取るか取らないかで、支払う税額に大きな差がつくのだ。

 なかでも注目したいのが、「孫への贈与」だ。実は2年前に亡くなった樹木希林さん(享年75)も孫への“贈与”を実践していた1人。樹木さんは合計10億円以上ともいわれる不動産を所有していたが、生前、「私が死んでも、夫に遺産は残さない」と宣言。残された不動産はこの宣言通り、娘の也哉子さん(44才)や娘婿の本木雅弘(54才)の名義に書き換えられたが、所有していた不動産の1つは、樹木さんが存命のうちに孫の伽羅(21才)の所有になっていた。

「日本人全体の平均寿命が伸びたことで、遺産を相続する人が65才以上の高齢者というケースが増えています。これだと相続税を払って相続したものの、10年後にその人も亡くなり、再びその子が相続する際に相続税を払うという問題も現実的に起こっています。そこで一世代抜かして、孫に生前贈与する“相続対策”が注目されているのです。また、消費活動の盛んな孫世代に遺産が引き継がれるよう、孫への贈与が“お得”になる制度を国が用意しているんです」

 配偶者と子供は民法で定められた相続人(法定相続人)となるが、孫は含まれない。そのため、さまざまな“抜け道”があるという。「孫相続」の賢いやり方を具体的に見ていこう。

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